【寄稿】韓国のDNAに刻まれた中国への片思い

 韓国の国民と指導者が統一に向けた基礎を築くためには、中国への「片想い」からくる依存的な考え方をまず打破すべきだ。外交で真心のこもったもてなしを受けたからといって、国家の大戦略とは冷静に区別しなければならない。中国の巧みな話術に振り回される2015年の韓国の風景は、1880年に駐日中国公使の何如璋が英国の公使に言い放った言葉を連想させる。「ひそかに力を誇示しながら親切に接すれば、簡単に従う朝鮮人たちはまるで子どものようだ」という発言だ。

 韓国の先祖たちは、帝国・中国が設定した中華秩序を骨の髄まで受け入れた。先進的な文化の受け入れと、弱小国の生き残りのため、実利的な次元を大幅に超越した積極的な受け入れだった。中国を文明の中心と考えて事大(大国に従う)しながら、自国を「小中華」として自慢した。とりわけ、1644年に明が滅亡した後、朝鮮民族の小中華意識は「小さな中国」の自画像まで描いた。中国の辺境の異民族が全盛期に世界の中心を自負し、その頂点に立つ者が「皇帝」を自称していたのとは異なり、朝鮮は自らを「東国」と呼びながら中国に従った。まさに骨の髄までといえる中国への片想いだった。

 だが、かつての韓半島の中国への片想いというDNAを、今日再現するというのは時代錯誤であり、むしろ統一の障害となりかねない。韓国は民主化と経済発展をともに実現したが、これは中国には夢のまた夢だ。中国の民主化は「帝国・中国」の解体をもたらすからだ。このため経済的な利害関係を除けば、韓国が中国に片想いをし続ける理由は全くない。世界の「2強」となった中国の世界戦略を、韓国の依存的な考え方へとねじ曲げて解釈するのは、危険千万なことだ。日本の「普通の国」への変革の動きに怒りをあらわにする韓国人の感情的な反応も、韓国で戦略的な考え方が不十分という事実を立証する。民族主義的な熱情が過剰になると、統一という大局を見誤ることになりかねない。

ユン・ピョンジュン韓神大学教授(政治哲学)
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