THAAD:韓国国防部、活動家の抗議で電磁波測定を取りやめ

 国防部の文尚均(ムン・サンギュン)報道官は「地域団体の反対があり、また地元住民の間でも合意が形成されていない」とした上で「当初は測定の際に住民の立ち会いを保証する約束を交わしていたが、関連団体の反対によって実行が難しい状況にある」などと説明した。電磁波を測定し、同時にその現場を公開することの目的は住民の懸念を解消することにあったものの、「住民が望まないのであれば、強行する理由はない」と国防部は考えたようだ。国防部の関係者は「もし強行した場合、また新たな対立の火種になりかねないとの判断もあった」とコメントした。

 電磁波の測定は、THAAD配備に対する住民の理解を得るための比較的容易な方法だ。測定機器さえあれば数値が表示され、その場で安全性が確認されることから、その結果について議論の起こりようがないからだ。むしろ問題は今の文在寅(ムン・ジェイン)政権が公言してきたTHAAD配備の「手続きの正当性」を確保することであり、そのためには今回の電磁波測定よりもはるかに複雑な「公論化」の手続きを踏まねばならないことだ。その代表的なケースが環境影響評価を受ける際に開催が求められる「住民公聴会」だ。THAAD配備に反対する団体などが住民と協力して反対運動を続けた場合、説明会や公聴会が開催されても現場が混乱し、後にまた再開されるというパターンが繰り返されるだろう。そうなれば結局はより多くの時間がかかる可能性が高くなってしまう。

 野党からは「政府が掲げる『公論化を通じた決定』の意図を示すものだ」などの声も聞こえてくる。慶尚北道選出のある国会議員は「政府の本音は『住民の反対』という『作られた世論』を利用し、これによってTHAAD配備の中断、そして原発工事の中断を進めることだ」「電磁波の測定という非常に簡単なことさえやる気がないのであれば、もっと複雑な環境影響評価、あるいは原発工事中断に向けた公論調査を年内に終わらせることなどできるわけがない」などと指摘した。

李竜洙(イ・ヨンス)記者
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