韓国中小企業「日本より高い人件費、長官は現場に来てみろ」

 2年で最低賃金が29%上昇することで、勤労者間でのバランスも懸念材料だ。京畿道抱川市にある繊維メーカー経営者は「時給8530ウォンと言えば、勤続5年目の技術者レベルだが、入社したての外国人従業員に同額を払うわけにはいかないじゃないか。そうかといって、従業員全員の給与を引き上げれば赤字は明らかだ」と語った。同社は昨年の売上高が60億ウォン、営業利益が2億ウォンだった。従業員60人の人件費上昇だけで黒字分は吹っ飛ぶ計算だ。

■「長官は現場に来てみろ」

 ソウル市汝矣島の中小企業中央会で洪長官が開いた懇談会でも中小企業経営者は苦言を呈した。ある中小企業経営者は「労働界のことばかりを代弁する公益委員の任命方式を変えなければ、来年の最低賃金交渉も偏ったものになる。長官は長官職を失うとしても直言すべきだ」と迫った。時計産業協同組合のキム・ヨンス理事長は「所得主導成長の方針を変えてもらいたい」と現政権の経済政策の柱を真っ向から批判した。

 出席者の1人は「今回の最低賃金引き上げに対する中小企業経営者の怒りが過激な表現となって飛び出した」と述べた。別の出席者は「洪長官が業界の悩みを直接聞きに来てくれたのは有り難いが、果たして中小企業経営者の意見がどれほど反映されるかについては疑っている」と話した。洪長官は労働組合主要2団体、公務員労組に対し、「零細事業者製品購入運動」「オンヌリ商品券(従来型市場で使用する目的の商品券)購入割合拡大」を求めた。また、大企業には「納品単価見直し」を要求した。しかし、中小企業は実効性は小さいと受け止めている。韓国経済研究院のキム・ユンギョン企業研究室長は「最低賃金を大幅に引き上げた後、中小企業と零細事業者を別途の支援策で支援するには限界がある。最低賃金引き上げのペース、範囲を細かく検討する必要がある」と指摘した。

チョ・ジェヒ記者
前のページ 1 | 2 次のページ
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 韓国中小企業「日本より高い人件費、長官は現場に来てみろ」

right

あわせて読みたい