韓国統計庁長が涙の離任式「自分は言うことを聞く方ではなかった」

■統計庁に過ちはあったのか

 青瓦台は統計庁が経済指標を調査し、国民に説明する方式に問題があるとみている。例えば、低所得層の所得が大幅に減少したという結果が出た今年の家計動向調査の場合、標本世帯が昨年の5500世帯から今年は8000世帯に増え、高齢・低所得層の世帯の割合が大幅に高まった。昨年までは2010年の人口総調査の結果に基づき、標本を抽出していたが、今年からは15年の調査に基づき、標本を新たに抽出したため、60歳以上の世帯主の割合が当初の34.7%から37.2%に上昇した。過去の統計数値と単純比較すべきではないのに、統計庁がそのまま発表し、説明にも問題があるというのが青瓦台の立場だ。しかし、専門家は標本の差が統計の傾向を変えるほどのものではないとみている。キム・ドンヨン経済副首相も27日、国会で「標本の誤りで(所得)分配の格差が拡大したという考えには同意しない」と述べた。

 カン・シンウク新統計庁長は、過去に保健社会研究院の研究委員として働き、青瓦台と同様を主張を行っていた。カン庁長は15日に発表した「最近の所得不平等の推移と特徴」と題する文章で、「統計庁の調査資料は毎年多かれ少なかれ変化を示し、過去との比較を不可能にした。所得分配を改善するためのさまざまな政策に対し、豊富な情報を提供する(あらたな)資料生産が速やかに再開されるべきだ」と主張した。政府筋は「青瓦台は新庁長のそうした主張に注目したと聞いている」と話した。

■新庁長と青瓦台元秘書官の親しい関係

 しかし、政府内からは青瓦台の方針が経済官庁や国策シンクタンクに「統計の歪曲(わいきょく)」をそそのかしかねないという懸念が示されている。保健社会研究院などは今年5月、青瓦台の指示を受け、統計庁の家計所得動向資料を「再加工」し、青瓦台に提出した。文大統領はそれに基づき、「最低賃金引き上げのプラス効果は90%ある」と発言した。しかし、その資料は最低賃金引き上げで直撃を受けた自営業者や無職などが抜け落ちた統計だった。カン新庁長は資料を作成した人物と目されたが、国会答弁で否定した。

イ・ジュンウ記者 , イ・ミンソク記者
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