【寄稿】「運動圏権威主義」という逆説

 第一はメディアに対する脅迫だ。韓国における自称「進歩」もグーグルに対し「フェイクニュースを削除せよ」と要求した。最近は「中国式のサイバー検閲に向かう」との懸念も出始めている。

 2番目は官僚、軍、さらには治安機関を自分たちを後押しする政治勢力とすることだ。韓国の自称「進歩」も行政権や公権力の行使にとどまらず、司法に対しても「キャンドル」政治に組み込みたいという本音をあらわにしている。金慶洙知事が法廷で拘束されると、それを命じた裁判長に対して政権与党は「梁承泰(ヤン・スンテ)前大法院長(最高裁長官)系列の裁判官」として裁判から排除するよう要求し、司法の独立どころか「キャンドルによる裁判官弾劾」などと脅迫を始めた。

 3番目は無差別かつ違法な査察だ。キム・テウ氏は大統領府の何を問題と思ったのか、特別検事によるドルイドキングの捜査状況を把握しようとしたことや、全羅南道の黒山島空港建設に反対する民間委員に対して査察が行われたことなどを暴露した。運動圏(左翼学生運動)はかつて自分たちを査察し、拘束して刑務所に送り込んだ敵を克服したのではなく、今やかつての敵と同じ行動をしているのだ。

 4番目は不公正な法の執行だ。キム・テウ氏は「大統領府は現政権の有力者による不正に関する報告書を黙殺し、自分たちに対しては公務上機密漏えいを適用した」と主張した。キム・テウ氏は「権力機関の不正を暴露したのであり、機密を漏えいしたわけではない」とも主張している。5番目は大法院に自分たちの側の人間を送り込むことだ。今の政府も大法院と憲法裁判所にウリ法研究会や国際人権法研究会など自分たちに近いメンバーを送り込んだ。三権分立ではなく三権総括でもしようというのだろうか。

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