「世界を変えるスタートアップ」…韓国系の20代事業家が米で突風

■AIで政治を予測

 フィスカルノートは、米連邦と50の州の政府・議会・裁判所が公開したビッグデータをリアルタイムで参照し、人工知能によって分析した情報を提供する。これによって現在、議会に上程された法案の細かな内容や後援者、上下院議員の過去の投票状況を分析し、各議員の賛成・反対予測や、実際に法案が通過する可能性がどのくらいあるのかも分析する。ファン代表は「法案の通過予測度は90%以上」と話した。

 例えば、車両共有サービス、ウーバー(Uber)の官公庁向け担当者は現在、米連邦と50の州の議会で車両共有に関するどのような法案が発議され、どのように進行しているのかをリアルタイムで把握することができる。州ごとの独自の法令や特定の州の裁判所で出された過去の判決文まで反映する。該当の法案は誰がどのような意図で作成したのか、果たして通過するのかを、あらかじめ予測して、関連企業や市民団体、地域住民らが事前に対処できるよう支援するわけだ。ファン代表は「ウーバー、マクドナルドなど5000余りの顧客がフィスカルノートを購読している」として「現在、米国だけでなく世界60か国・地域の公共データを分析し、提供している」と話した。

 フィスカルノートは昨年8月、英国の有力メディア、エコノミストグループと1億8000万ドル(約190億円)の契約を締結した。エコノミストが保有する政治専門メディア「CQロールコール」を買収したのだ。CQロールコールは米国のホワイトハウスや議会のニュースを扱っている。一方のエコノミストは現金とフィスカルノートの持ち株18%を取得することを決めた。エコノミストグループのクリス・スティーブスCEOもフィスカルノートの取締役会メンバーに名を連ね、ファン代表は20大メディアのオーナー(社主)となったのだ。(エコノミストグループは)技術のベンチャー企業に有力メディアを譲り渡し、運命を共にすることにしたわけだ。ファン代表は「情報を再販売する仕事である以上、顧客に対しデータ分析とリアルタイムコンテンツを充実した状態で提供するため(の買収だった)」と話した。

シリコンバレー=パク・スンチャン特派員
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  • ▲人工知能(AI)を政治に適用し、特定の法案の通過確率、上下院議員の性向を基に賛成・反対まで予測するサービスを開発した、フィスカルノートの創業者でCEOのティム・ファン(27、右)。左は法案関連の各種データを分析して表示するフィスカルノートのサービス画面。/ブルームバーグ、フィスカルノート

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