英女王エリザベス2世の娘、アン王女(69)はこのほど、ロンドンにあるファッションブランド「グローバーロール」の本社を訪れ、従業員10人余りとあいさつを交わした。1951年の創業以来、「メード・イン・イングランド」を固守している同社を激励するための訪問だった。ところが、その席に韓国イーランドグループのキム・イルギュ副会長、キム・ソンホ欧州法人長の姿もあった。いったいどういうことなのか。
■ヘリテージを買収して学ぶ
グローバーロールは第2次世界大戦で英軍が着ていたいわゆるダッフルコートを初めて製品化した会社だ。ダッフルコートは普通のボタンの代わりに丸餅のような木のボタン(トグル)をひもで引っ掛ける形になっているのが特徴だ。クローバーロールは第2次大戦当時の英国の名将、モンゴメリー将軍の別名にちなむダッフルコート「モンティ」などを30カ国余りに輸出していた。41年前の1978年、英女王から輸出賞も受賞した。キム副会長らが英王女の訪問に同席した理由はこのブランドを経営しているのがイーランドだからだ。イーランドは1995年、初の海外ブランド買収にグローバーロールを選んだ。
世界のファッション業界では歴史が浅く、イタリア、フランス、英国など欧州主要国または米国「出身」ではない会社がブランドとして扱われるのは容易ではない。このため、日本、中国などのファッション企業や商社は自社ブランドの育成と同時にヘリテージ(遺産)を確保するため、伝統ある会社を買収する方式を選んでいる。
イーランドも同様だ。グローバーロールをはじめ、イタリアのコチネレ(COCCINELLE)、マンダリナダックなど海外ブランドを相次いで買収した。イーランドが買収したブランドにはスコットランドのロキャロン(Lochcarron)も含まれている。2011年にイーランドが買収した企業で、1892年の創業だ。タータンチェックの生地を専門にしており、その生地でスカーフ、ブランケットなどを生産している。エリザベス2世は野外での行事に出席する際、同社のひざ掛けを愛用している。ロキャロンはニューヨーク、映画「シュレック」、英サッカーチームのマンチェスター・シティー、ゴルフ大会のライダーカップなどとタイアップし、新しいチェック模様を開発したこともある。ロキャロンのドン・ロブソンベル最高経営責任者(CEO)は「イーランドに買収された当時、ヘリテージブランドを海外に売ることに社内の反対があったことも事実だが、イーランドの投資を受けなければ死に絶えると考え、結果的にイーランドに買収された後は、自分たちが得意な仕事に集中できるようになった」と話した。