韓国軍の警戒失敗は、5月21日に中国人8人がモーターボートに乗ってひそかに入り込んで来たときにも起きた。韓国軍の合同参謀本部の調査によると、このボートが5月20日に山東省威海を出港し、21日午前11時23分に蟻項里の防波堤に到着するまで、韓国軍によって識別された回数は合計13回に上った。内訳は海岸レーダーで6回、海岸複合監視カメラで4回、熱映像監視装置(TOD)で3回。それにもかかわらず、韓国軍では何の措置も取らなかった。三日後の5月23日にようやく住民の通報を受け、泰安郡所遠面蟻項里付近の海岸で中国人が乗り捨てたボートを発見した。4月の密入国事件当時はTODの録画機能が故障を起こしていたことまで発覚した。
韓国軍関係者は「十分に識別可能だったにもかかわらずレーダー運営兵が認識できなかった」とし、「カメラとTODの運営兵も釣り船や一般のレジャーボートと誤認して、追跡や監視は行っていなかったことが確認された」と明かした。海警の捜査チームは「摘発できていない密入国者を追跡しており、さらなる密入国事例があるかどうか確認を行っている」とし、「6月4日午前に忠清南道泰安郡新津島北部の海岸で見つかったゴムボートの件についても、密入国関連かどうか調べている」と説明した。
海警は5日、この件について責任を問い、ハ・マンシク泰安海洋警察署長を解任した。上級機関長のオ・ユンヨン中部地方海警庁長については警告措置とした。韓国軍関係者は「指揮の責任がある師団長など過誤が明らかな軍関係者を厳重に措置し、全般的な海上監視システムを補完することとした」と語った。