【コラム】「文在寅風刺の壁新聞」で有罪判決を受けた20代青年

 自称「ろうそく政権」が国家保安法や国家元首侮辱罪を適用することはできなかった。ようやく考え出した容疑が「建造物侵入罪」だった。大学キャンパスに無断侵入したことにした。しかし、一般人がいつでも出入りする大学に立ち入ったことを「侵入」として追及するのには苦心した。警察の取り調べ記録を見ると、建造物侵入の容疑とは関係がない壁新聞の内容や壁新聞をどうやって受け取ったのかなどを中心に尋問が行われた。起訴相当として送検し、検察は罰金100万ウォン(約8万9000円)を求刑して略式起訴した。

 しかし、無償で弁論を引き受けた若手弁護士は「2020年の大韓民国ではあり得ないことだ」として、正式な裁判を要求した。法廷で弁護人は「現政権の実力者多数が過去に全大協の活動を行い、壁新聞を張った。当時自分たちが壁新聞を張った行為は表現の自由、民主化運動であり、現政権を批判する壁新聞を張ることは建造物侵入罪だろうか」と問い掛けた。証人として出席した大学関係者も「壁新聞で被害は受けていない。処罰は望まない。表現の自由がある国で裁判までやる問題かどうかも分からない」と述べた。

 判事は罰金100万ウォンを半分に減額する判決を下した。青年の事情を勘案したと自分を慰めるかもしれない。判事自身が民主主義後退の協力者になった事実には気づいていないはずだ。

 青年には犯罪前科が残り、就職や日常生活で不利益を受けることは間違いない。裁判所の有罪判決は彼を教訓として、これからは「不穏な」壁新聞を張ろうなどと考えるなという警告を青年に発するものだ。

 表面上は罰金50万ウォンだが、警察、検察、裁判所が協力して、表現の自由と権力者に対する批判にさるぐつわをはめた事件だった。韓国社会がそれに順応すれば、独裁や全体主義に少しずつ体を委ねるようになる。青年たちが「息ができない」と感じ、自分たちの問題として認識することを望むばかりだ。

チェ・ボシク上級記者

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