「北朝鮮が3年前にICBMを発射した際、米国は核兵器80発の発射を検討」

ボブ・ウッドワード氏の新刊『RAGE(怒り)』に記載
当時は北朝鮮によるICBM発射で緊張が高まる

 2017年、当時のマティス国防長官は米軍と国家安保チームがセキュリティー通信ラインで行う緊急会議「最高位機密カンファレンス」を通じ、北朝鮮によるミサイル発射について6回ほどリアルタイムでモニターしたという。北朝鮮は移動と隠蔽(いんぺい)が可能な移動式発射車両に数十個の核兵器を保有しているが、トランプ大統領はマティス長官に対し、米国に向かってくるいかなる北朝鮮ミサイルも迎撃する権限を与えたとウッドワード氏は伝えた。四つ星将軍出身のマティス氏は、トランプ政権の初代国防長官だった。

 2017年7月4日、北朝鮮は金正恩氏が直接見守る中、平安北道亀城の芳ヒョン飛行場周辺から米本土への攻撃が可能なICBM「火星14型」を初めて発射した。これを受けビンセント・ブルックス韓米連合司令官(当時)はマティス長官の承認の下、翌日直ちに南北の境界に近い東海岸で示威と警告目的の作戦に乗り出した。海岸から火を噴いて発射した米軍の戦術ミサイルは、186マイル(約299キロ)先の東海上に落下した。ウッドワード氏は同書の中で「それは米国がミサイルを発射した地点から北朝鮮のミサイル発射場、金正恩氏がミサイル発射を見守る写真が撮影されたテントまでの正確な距離だった」と説明した。当時、米第8軍が東海に向けATACMSミサイルを発射した事実は知られていたが、金正恩氏を攻撃するための距離を計算して発射されたことは今回初めて伝えられた。

 ウッドワード氏は「その意味ははっきりしている。金正恩氏は自らの個人的な安全を懸念する必要があった」と書いた。また米軍のミサイルが非常に簡単に発射場と金正恩氏を狙えるという事実について、これを北朝鮮が悟ったことを示す情報が収集されていないこともウッドワード氏は伝えている。米軍がATACMSミサイルを発射する方向を北西に変えるだけで、金正恩氏に命中させられるという事実を北朝鮮は理解できていなかったということだ。

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ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員
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