韓国与党、国家情報院のスパイ捜査権をなくす法律を強行採決

「対共捜査権」を警察に移管する法案を単独で可決
野党は採決に不参加
「第5共和国時代に戻った」

韓国与党、国家情報院のスパイ捜査権をなくす法律を強行採決

 韓国の情報機関、国家情報院が持つ共産スパイ関連の事件(対共事件)などに対する捜査権をなくす国家情報院法改正案が30日、国会情報委員会全体会議で可決された。保守系野党・国民の力所属の議員らは「わが国におけるスパイ捜査の能力が大きく低下し、また国家情報院による『経済かく乱行為』に関する情報収集は広範囲な民間人査察につながる」として採決をボイコットしたが、与党・共に民主党の議員らはこれらの法案を一方的に可決した。

 国会情報委員会がこの日可決した国家情報院法全部改正案は、国情院が持つ対共、国家保安法事件などに対する捜査権を警察に移管することを定めている。捜査権の移管は安全保障上の空白防止の観点から3年間の猶予期間が置かれることになった。その後、国家情報院は国家情報院法に違反する犯罪、内乱、外為罪、防諜(ぼうちょう)、対テロ、国際犯罪組織などに関する情報収集だけが可能になる。

 これまで国家情報院はスパイ事件などに対する捜査において中心的な役割を果たしてきた。国家情報院には秘密要員が所属しており、脱北者の管理も行っている。国家情報院が秘密要員や脱北者とは異なる複数のルートを通じて収拾した犯罪関連の情報や証拠は、スパイなどの対共捜査や起訴、裁判に用いられる。国家情報院としては捜査権を持つことを根拠に、海外で活動しているスパイなどの追跡や逮捕もやりやすい。対共事件や犯罪の情報を警察の保安捜査隊に伝え、これに基づいて警察が捜査を行うケースも多い。国家情報院と警察、起訴を担当する検察は一つの対共事件を捜査するため数年にわたり一体となって動いてきた。ところが国家情報院の対共捜査権が全て警察に移管されれば、第三国で活動するスパイなどへの捜査力がどうしても低下せざるを得ない。

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キム・ジョンファン記者 , キム・ギョンピル記者
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