韓国与党、国家情報院のスパイ捜査権をなくす法律を強行採決

「対共捜査権」を警察に移管する法案を単独で可決
野党は採決に不参加
「第5共和国時代に戻った」

 大検察庁(最高検に相当)の「2020検察年鑑」によると、国家保安法違反容疑による起訴件数は文在寅(ムン・ジェイン)政権発足からの3年間(2017-19)に16件あったが、これは16年の1年間だけの起訴件数(16件)と同じだ。国民の力の趙太庸(チョ・テヨン)議員は「文在寅政権が検挙したスパイはわずか2人だ。これまで国家情報院が築いてきた対共システムも一瞬にして崩壊してしまうだろう」と指摘した。

 国家情報院で対共捜査や情報収集を担当してきた人材に対する今後の処遇も問題として浮上しそうだ。国民の力のイ・チョルギュ議員は「国家情報院法改正は改悪だ」とした上で「国家情報院の人材は他の政府機関に異動させねばならないが、そんな措置は見当たらない」と主張した。現状から考えると、国家情報院で対共事件を担当する職員の一部は、現政権が発足に向け準備している国家捜査本部(既存の警察による捜査機能を担当)に異動する可能性が高い。保安当局の関係者は「職場を新たに移らねばならない国家情報院職員らの反発も根強く残るだろう」と予想した。

 「恐竜警察」に対する懸念もある。今回の改正案には国家情報院による国内での情報収集機能をなくすという内容も含まれている。警察が事実上、国内における唯一の情報収集機関になるわけだ。しかも警察は対共事件を含む捜査権まで持ち、国内での治安も担当する。国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員は「朴鍾哲(パク・チョンチョル)拷問致死で悪名高い南営洞(ソウル市竜山区)対共分室を運営した第5共和国時代の治安本部保安局を復活させるようなものだ」と指摘した。これに対して共に民主党所属のチョン・ヘチョル情報委員長は「警察があまりにも大きな権限を持つとの懸念を払拭(ふっしょく)するため、警察法の改正案についても議論が行われている」と説明した。

■「国別腐敗認識指数」韓国39位、日本は?

キム・ジョンファン記者 , キム・ギョンピル記者
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