【寄稿】李健熙コレクション、世界的美術館を作るチャンス

相続税の物納を受けて国立美術館を作れば、貧弱な文化・芸術インフラを一挙に埋めるチャンス
モネ、ピカソ、ロスコ…最高レベルのコレクションが観光産業を活性化する

 これらの美術館は、それ自体も世界の人々のバケットリスト(死ぬまでにやりたいことのリスト)入りするものだが、他の用事で来た人々がもう1日追加でそこに滞在するよう仕向ける、強い誘因となっている。経済力で世界トップ10入りした韓国の国立美術館に、誰もが一度はぜひ見てみたい世界的な美術品が1点もないというのは、恥ずかしいと同時に観光インフラの脆弱(ぜいじゃく)性の観点からも大きな問題と言える。

 この限界を一挙に乗り越える、逃してはならない好機が生じた。サムスンの李健熙(イ・ゴンヒ)会長の遺産のうち、美術品に対する税金を確定するための鑑定評価が最終段階に差し掛かっていて、その評価額は数兆ウォン(1兆ウォン=現在のレートで約950億円)だという。株式の相続にかかる11兆ウォン(約1兆450億円)のほかに、ここでも兆単位の税金が賦課されるだろう。

 株式は税率が60%だが、ここに美術品、不動産などに対する税金を加えると70%以上を出すしかない。物納は避けられず、6回の分納をするにしても、毎年2兆ウォン(約1900億円)相当の株式が市場に出回れば株価が上がりにくくなる。住宅購入を諦めた若い世代が「魂までかき集めて」融資を受けて株を買っている状況で、これは政治的に良いニュースではない。

 経営権に対する脅威と株式市場に及ぼす副作用を最小限に抑えたいなら、美術品と不動産を売り払うのがよさそうだが、これは難しい。およそ1万3000点といわれるコレクションの中には、イ・ビョンチョル会長時代から買い集めた湖巌美術館の古美術品類が多くあるが、その大部分は法律上海外への持ち出しが不可能で、韓国国内で5年以内に全て売るのは事実上不可能だ。李健熙会長が集めた韓国の有名画家の作品も、5年に分けて売るとしても正当な買値は付き難く、それでなくとも低い評価を受けている韓国文化財や美術品の価格をさらに下げてしまう。

■「2021年世界革新指数」韓国1位、米国11位、日本は?

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