韓国大統領選挙に関する世論調査470件、検証も処罰も不十分

詳しい検証ができない世論調査が「雨後のたけのこ」
大統領選挙関連の処罰はわずか1回
処罰を受けても過料さえ払えば問題なし
世論調査は超低価格ばかり
専門家「分かっている世論の捏造は氷山の一角」

 業界はずさんな世論調査が多い原因として「『超低価格』あるいは『無料』で行われる世論調査が問題」と指摘している。先日処分を受けたグローバル・リサーチも「独自調査」として実施した結果を特定のメディアからは料金を受け取らず提供した。つまり会社としては直ちに利益は出ないが、メディアの間で自分たちの知名度を高める効果を期待したと考えられる。費用が比較的安いARSによる調査は200万-400万ウォン(約19万-38万円)という非常に安い価格でメディアに提供されるケースが少なくないという。ある業界関係者は「無料の調査または非常に低価格の調査の場合、十分な人数の調査員を採用せず、標本の正確な選定過程も省略し、時間に追われながら適当に調査を行うしかないだろう」と述べた。

■ずさんな世論調査を防ぐ法案を握りつぶした国会

 過料などの処分を受けた調査会社がその後も何の支障もなく営業を続けるなど、ずさんな世論調査の大量生産の原因とされるのが「処罰の軽さ」だ。現行法で定められた審議委員会による過料の処分には登録を制限する規定がない。懲役刑あるいは100万ウォン(約9万5000円)以上の罰金刑が宣告され、登録が取り消された調査会社も1年過ぎれば再び登録が可能なため、「処罰の実効性が薄い」との指摘は以前からあった。

 前回の第20代国会では世論調査の歪曲や捏造を防ぐため、調査会社に対する制裁を強化する法案が提出された。自由韓国党(当時)の李種培(イ・ジョンベ)議員は「審議委員会から200万ウォン以上の過料が命じられた調査会社は登録を取り消し、刑罰および過料の軽重によっては最長4年まで再登録を制限する」という内容の法案を提出した。同じ自由韓国党の金相勲(キム・サンフン)議員が提出した法案は過料と罰金の額を現行よりも非常に重くすると同時に「法律に違反し調査会社の登録が取り消された場合は3年間再登録できない」という内容だった。与党・共に民主党の朴炳錫(パク・ピョンソク)議員も「登録が取り消された調査会社が代表者や社名だけを変えて再び登録し、これが摘発された場合は5年間登録できない」とする内容の法案を提出した。しかしこれらの法案は審議もされないまま20代国会閉幕と同時に全て廃案となった。ソウル大学のキム・ソクホ教授は「世論調査の結果に対する歪曲や捏造が摘発された場合、その調査会社は永遠に業界から追放すべきだ」「世論調査の質を高めるために審議委員会による実効性のある規制が必要だ」と指摘した。

洪永林(ホン・ヨンリム)世論調査専門記者兼データジャーナリズム・チーム長

■世界最高の国ランキング7位は米国、韓国は20位、日本は?

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