悪材料をチャンスに変えた「ユーティリティープレーヤー」金河成【コラム】

「どこでも守れる」内野手、韓国人初の「ゴールドグラブ賞」受賞
「どのポジションでも最善を尽くす」―黙々と取り組んだ練習が実を結ぶ

 米大リーグ(MLB)でプレーする金河成(キム・ハソン=サンディエゴ・パドレス)が今季米国で、守備に卓越した選手が各ポジション別に1人ずつ選ばれる「ゴールドグラブ」賞を受賞した。韓国人として初の受賞であり、内野手としてはアジア人初だ。戦争と政争が吹き荒れる中、久々に心温まるニュースとなった。何よりもユーティリティー(utility)という昨年新設された特殊な部門で賞を受賞したため、さらにその意味合いは大きい。

【表】韓国人初ゴールグラブ受賞・金河成、打って走ってチームに貢献

 ユーティリティーとは英語で「多用途」という意味だ。野球でユーティリティープレーヤーとは「いろんなポジションをこなせる選手」と定義される。万能と解釈することもできるが、別の言い方をすれば、先発メンバーに故障者が出た場合、さまざまなポジションを転々とする「穴埋め」といった意味でもある。ドラマや演劇の世界では「端役」をユーティリティーと呼ぶ。

 野球専門記者レナード・コペットの著書『野球とは何か』によると、ほとんどの選手は守備を「仕方なくしなければならない面倒なこと」と考えている。それくらい困難な守備の中で、ユーティリティープレーヤーは特に厳しい職務と言える。どのポジションに就くか分からないため、練習にはより一層励まなければならないが、準備したところでいつ出場できるかも分からないのだ。米野球専門誌『ベースボール・ダイジェスト』は、ユーティリティープレーヤーについて次のように書いた。「正気であれば、『最高の穴埋め』を目標とする選手は誰もいない」

 「ユーティリティー金河成」も悪材料によって生み出された。金河成は幼い頃から昨年まで主に遊撃手としてプレーした。ところがパドレスが今年初め、大リーグ最高の遊撃手の一人であるザンダー・ボガーツを獲得した。自らが営業部長なのに、会社が業界最高の営業通をスカウトしてきたようなもので、さぞかし当惑したことだろう。これについて、金河成はスポーツTVとのインタビューで次のように語っている。「チームから(ポジションを変えるように)言われた。いろいろ考えている暇などなかった。どのポジションでも最善を尽くす」と回答した。たくさん出場することが最も重要だった」

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