帰国した李鐘燮・駐豪大使「出頭命令を出してほしい」…公捜処「検討する」 韓国上等兵死亡事件

李鐘燮大使が出頭命令を要求する意見書を提出

帰国した李鐘燮・駐豪大使「出頭命令を出してほしい」…公捜処「検討する」 韓国上等兵死亡事件

 李鐘燮(イ・ジョンソプ)オーストラリア駐在大使が21日に帰国した。韓国で昨年起こった水害直後、行方不明者を捜索中の海兵隊兵士が殉職する事件が発生したが、当時国防部(省に相当)長官だった李大使が事件の捜査を縮小するよう圧力をかけたとして高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は李大使を捜査している。事件と関連して李大使は弁護士を通じ「公捜処に国内の全てのスケジュールを伝え、出頭を命じるよう要請した」と明らかにしたが、公捜処は「捜査チームで検討する」としか回答していない。

【グラフィック】チェ・スグン上等兵死亡事件と捜査状況

 法律に詳しい専門家からは「公捜処は李大使が捜査から逃れるため出国したかのように説明したが、李大使からの出頭命令要求に直ちに応じられる準備はできていないようだ」などの指摘が相次いでいる。公捜処は昨年9月に李大使に対する告発状を受理したが、その後6カ月にわたり李大使ら容疑者らに対して出頭命令を出せていない。

 李大使は仁川国際空港に到着した直後、記者団の取材に「私について浮上したとされる複数の疑惑について、それらが事実でないことはもう何度もはっきりと申し上げた。そのため改めて説明はしない」と述べた。

 李大使は公捜処の捜査が行われる中で駐オーストラリア大使に任命され、今月10日に出国したことが問題になっている。公捜処は12日「追加の聴取が何としても必要」と説明し、18日には「(李大使の)出国を認めたことはない」と明言した。その後李大使の弁護団が19日付で聴取の日時を早期に決めるよう公捜処に文書で求めたが、公捜処は直ちに回答しなかった。21日に弁護団が再び同様の文書を提出すると、公捜処は「捜査チームで検討する」と回答した。

 韓国野党・共に民主党は攻勢を強めている。同党の李在明(イ・ジェミョン)代表は「海兵隊兵士殉職について国政調査と特別検察官の設置、李鐘燮問題に対する特別検察官の設置、いわゆる『2特検・1国調』に応じるよう与党・国民の力に強く要求する」「共に民主党は選挙前の本会議に議員全員が出席し『2特検・1国調』を採決する」と述べた。

 これに対して国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)非常対策委員長は「ボールは公捜処と共に民主党にある。政府と国民の力がやるべきことではない」「私は検事を長く経験したが、重要な選挙を前にこれほど騒がしくメディアを意識したパフォーマンスを行い、自ら声明を出す捜査機関など見たことがない」と反論した。ただし与党内にも李大使に対する否定的な世論を意識し「まずは自ら辞任することで潔白を証明すべきだ」との意見もある。

キム・テジュン記者

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