世界の自動車市場で2013年から3年連続首位(販売台数基準)の座を維持している日本のトヨタ自動車と、世界第5位の現代自動車の従業員1人当たりの平均年収が逆転し、1100万ウォン(現在のレートで約123万円、以下同じ)近い開きがあることが分かった。この平均年収は韓国と日本の国内の従業員を基準に算出したものだ。

 本紙が22日、両社の事業報告書を分析した結果、トヨタの2013会計年度の平均年収は794万5000円で、当時のレートで換算するとおよそ8318万ウォン。一方、同年度の現代自の平均年収は9400万ウォンで、トヨタより1082万ウォンも高い。

 トヨタの2014年会計年度(今年3月末まで)の有価証券報告書はまだ開示されていないが、昨年トヨタの労使は事実上の賃金据え置きで合意したため、14年の平均年収も前年とほぼ同水準と予想される。一方、現代自の14年の平均年収は9700万ウォン(約1080万円)で、1億ウォン(約1110万円)の大台を目前に控えている。

■トヨタ、労組が先に賃金据え置きを提案

 トヨタの営業利益は約24兆3797億ウォン(約2兆7250円、13年度基準)で、現代自の2倍に相当する。14年度の売上高はトヨタの27兆2345億円(約244兆ウォン)に対し、現代自は89兆ウォン(約9兆9500億円)で、トヨタの方が3倍も多い。それなのに12年から両社の平均年収が逆転しているのはなぜだろうか。

 理由は労働組合(労組)の「決断」にある。トヨタは07年末の世界金融危機と、米国市場での大規模リコールなどにより、08年の営業利益が赤字に転落。すると09年、労組は会社側に賃金据え置きなどを提案し、ボーナス削減などに合意した。当時、トヨタ社員の年収は前年比で平均100万円近く減少した。

 トヨタは12年から10兆ウォン(約1兆1200億円)台の営業利益を回復し、13年には24兆ウォン(約2兆6800億円)という過去最大の業績を達成。それにもかかわらず労組は賃上げ要求を再び見送った。トヨタの関係者は「労組側が、まだ(賃金を引き上げる)時期ではないと判断した」とした上で「今年に入ってからの賃金交渉で、月給を平均3.2%(約1万1300円=10万1700ウォン)引き上げるというプレゼントを会社側からもらった」と話した。会社側は労組の協力に感謝の意を示す意味で、若手社員の手当増額、優秀社員の定年退職後の再雇用、家族手当増額なども検討している。

 一方の現代自は、11年に11兆ウォン(約1兆2300億円)超の営業利益を計上すると、労組は12年に8.4%の賃上げを要求し、ストを経て前年比5.4%の賃上げで合意した。現代自は12年に過去最高益を記録したが、翌年からは販売不振に加え、不利な為替レートなども影響し、営業利益は年々減少している。だが労働組合は今年に入っても7.84%のベースアップ、当期純利益の30%の成果給支給などを要求している。

 産業研究院(KIET)のイ・ハング上級研究委員は「トヨタは労使が協力して気を引き締め直し、会社を再生させた一方、現代自はシャンパンを開けるのが早過ぎたようだ」と述べ「両国の物価や両社の企業ランクを考えると、現代自の年収の方が高いというのは正常ではない」と指摘した。

■「現代自、雇用を柔軟化できなければピンチ」

 世界的にも自動車業界の労組の力は非常に強いが、世界の先進企業は異なる。「強硬労組」として悪名高かったトヨタは1950年、75日間の労働争議により倒産寸前の危機に陥った。トヨタの関係者は「このとき労組は、激しいストを起こせば会社が潰れかねないということを、経営陣は会社のビジョンを社員と共有することの必要性に気が付いた」と語った。

 トヨタの関係者は「その後、10年間の熟考期間を経て1962年に『労使宣言』を採択し、以降53年にわたり労使間争議は奇跡的に一度も起きていない」と説明した。トヨタは賃金交渉期間には300人余りの労使の交渉チームが3か月にわたりじっくり話し合い、臨時の会合などを開いて意見の差を細かく調整している。

 世界第2位のフォルクスワーゲン(VW)労組は2004年、生産コストの増加と販売不振により、純利益が前年比で約65%減少。このとき、雇用を保障する代わりに賃金据え置きと労働時間延長などを実施することで、11年までに20億ユーロ(現在のレートで2800億円)の経費を削減する再生計画を断行した。現代経済研究院のチョ・ホジョン上級研究員は「ドイツの労組は賃金と労働時間を譲歩するという雇用市場の柔軟化に同意したため、最近ではドイツ経済が第2の全盛期を迎えている」と指摘した。

 米国ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーも08年の経営破綻以降、労働者の賃金に差を付ける「二重賃金制(two-tier)」を導入し、雇用を柔軟化した。新入社員を中核業務従事者と非中核業務従事者に分け、賃金に約2倍の差を付けている。

 専門家たちは「現代自が世界3位以上に飛躍する鍵は、雇用の柔軟化を通じた価格競争力の確保にある」と指摘する。大手投資銀行ゴールドマン・サックスは今月初めに発表したリポートで「現代自は賃金上昇、生産性の低下、ライバル社のシェア拡大により構造的な困難に直面した」との見方を示した。トヨタは昨年、設備投資に1774億円、研究・開発(R&D)費用に1兆45億円を投資している。

 これは前年比でそれぞれ17.6%、10.3%の増加で、現代自の約2.5倍に当たる。価格競争力と共に品質もさらに改善されるという意味だ。カトリック大の金基燦(キム・ギチャン)教授は「現代自は労使が協力して柔軟な雇用文化をつくるべき。それができなければ、今後さらに深刻な危機に陥る可能性がある」と指摘した。

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