安倍晋三首相直属の諮問機関「21世紀構想懇談会」が作った「安倍談話」起草資料が、6日に公開された。この懇談会は今年2月、談話作りのために安倍首相が自分と近い学界・言論界・財界の関係者16人を集めてつくった組織だ。安倍首相の談話発表が数日後に迫る中、懇談会は資料を発表し、安倍談話もまたこの枠組みから抜け出すことはないものとみられる。

 懇談会は、日本が1990年代に「河野談話」や「村山談話」の発表などを通して韓国に何度も謝罪したと言及した。また、98年には金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の「日韓パートナーシップ宣言」で新たな段階に入ることができた、とも記した。しかしその後、韓国で政権が変わるたびに立場が変わったり、全く違うことを要求してきたりしたとして、盧武鉉(ノ・ムヒョン)・李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クンヘ)3政権を挙げた。最近、米国の朝野を相手に日本側が説明した「韓国側がしきりにゴールポストを動かす」という論理も、そのまま取り込んでいる。懇談会は、朴槿恵政権について「中国に依存し、日本に対する評価を低くした」と述べ、これが対日強硬姿勢につながったと評した。こうしたことが積み重なり、歴代最悪という現在の韓日関係を生んだというのだ。

 しかし安倍首相のブレーンは、過去10年余りの間に存在した日本側の過ちについては、1行たりとも提示しなかった。日本は90年代後半以降、教科書の歪曲(わいきょく)を強めるなどの方法で隣国との関係悪化を呼び込んだ。安倍首相をはじめとする主な政治家は、機会があるたびに、太平洋戦争のA級戦犯の位牌(いはい)がある靖国神社(原文ママ)を訪れ、韓中はもちろん米国・欧州の非難を招いた。日本の政治家による退行的な歴史否定・歪曲言動は、数限りない。安倍政権だけを見ても、慰安婦動員の強制性を認めた河野談話の再検討作業を突如として始め、この談話は政治的取引の産物だとけなした。それでいて今回は、90年代に河野談話を通して日本が努力したという、つじつまの合わない主張を繰り広げた。

 安倍首相が談話を準備してきたのは、韓国にとっては光復(日本の植民地支配からの解放)70年、日本にとっては敗戦70年を迎え、過去を振り返って未来を期するためだった。ところが、談話のガイドラインといえる今回の資料には、日本と安倍政権の誤りについてはひと言の言及もなく、韓日関係悪化の全ての責任を韓国側に押し付けている。

 懇談会は、1910年の韓日併合についても一切言及しなかった。その代わり、当時西欧列強の間で、アジアの植民地侵奪戦が展開されていたという状況説明がくどくどとなされている。西欧列強に対抗して日本が乗り出したという、日本の右翼の主張が下敷きになっている。植民支配36年についても、その間に朝鮮の経済成長が実現したと強調した後に、「ただし1930年代後半以降、過酷になった」と、たったひと言付け足した。

 安倍談話は、今月14日ごろに出るという。今回の起草資料に盛り込まれた内容そのままならば、韓日関係の未来は暗くならざるを得ないだろう。安倍談話に対する期待はやめて、「談話後」の対日戦略を考慮するのが賢明な道だ。

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