国際総合
ブドウ一房100万円!? 日本の果物はなぜ高いのか
「さあ、行きます。100万円!」
今月9日早朝、石川県金沢市の中央卸売市場。今年初めて出荷されたブドウ「ルビーロマン」が競りに掛けられ、市場内がざわついた。一房がミニラグビーのボールぐらいの大きさで、粒の数は26個、重さは700グラムだった。競りに参加した人たちが続々と手を挙げた。激しい競りの末、ホテル日航金沢が100万円で競り落とし、このブドウの主(あるじ)となった。ブドウの競り価格としては過去最高で、ブドウの一粒当たりの値段が36万ウォン(約3万8000円)もすることになる。
ホテル日航金沢の総料理長、平井優之さん(54)はブドウを胸に抱え「ちょうど100万円で競り落とすことができ、切れのいい値段だったのでうれしい。ホテルのレストランのVIPコース料理に、このブドウを使うつもりだ」と話した。
ルビーロマンは、石川県農業総合研究センターが1995年から13年間かけて品種改良を重ね、開発したブドウだ。ゴルフボール大の粒は巨峰の2倍以上の大きさだ。赤い光沢や甘さも一般のブドウに上回る。
特別なブドウとして人気が高く、東京や大阪など大都市圏の高級デパートでは一房1万円程度で販売されている。毎年夏には1万房以上出荷されるが、日本人の関心は「ルビーロマンの初競り価格に向けられる。誰がどれだけ金を出し、幸運にあずかるのかという好奇心が背景にある。
日本では、その年初めて収穫、水揚げされた農水産物(初物)が幸運をもたらすと信じられているため、毎年初競りでは激しい競争が繰り広げられる。ルビーロマンの場合、2008年に初めて市場に登場したときは10万円で競り落とされ。その後毎年初競り価格を更新してきた。昨年にはある結婚式場が55万円で競り落とし、披露宴の料理に用いられた。
今年の初競り価格は昨年に2倍に跳ね上がった。今年3月、金沢と東京を結ぶ北陸新幹線が開通したことで、今年はこの地域にとって運が大きく開けた。新幹線の開通によって観光客が増加し、地域経済再生の原動力となったことから、今年のルビーロマンの初競りはこれまで以上に熱気を帯びた。
初物が幸運をもたらすという日本人の情熱は、品種や地域にかかわらず強い。マンゴーの産地の宮崎県では、1キロの箱で出荷される初物のマンゴー2個の価格は30万円ほどになる。また、石川県産のシイタケは500グラムの箱入りの初物が2万3000円で取引される。これは同じ重さのシイタケよりも7000円ほど高い。
岩手県盛岡市では、初物のリンゴ28個が入った10キロの箱が65万円で販売される。リンゴ1個当たりの価格は20万ウォン(2万1000円)を超える。メロンの産地として知られる北海道夕張市では、初競り価格が最高250万円に達した記録がある。
初物の競り価格が最も上昇するのは、世界最大の水産市場である東京の築地市場だ。マグロの価格に一喜一憂する業者は、新年の幕開けとともに市場に出るマグロを競り落とすため、激しい競争を繰り広げる。過去最高のマグロの初競り価格は、2013年の1億5540万円だった。