朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は3日、中国・北京で行われる「抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利70周年記念式典」に出席した。朴大統領は中国の習近平国家主席と共に天安門の楼閣に上り、韓国の大統領として初めて中国人民解放軍の軍事パレードを参観した。

 朴大統領が、韓国の同盟国である米国と覇権を争う中国の台頭を象徴する行事に出席し、6・25戦争(朝鮮戦争)で敵として戦った中国人民解放軍を閲兵したのは、経済・外交的な実利を考慮した措置と考えられる。中国は韓国の対外貿易額の25%を占める最大の貿易相手国であるとともに、北朝鮮に影響力を行使できる事実上唯一の国だ。韓国政府の関係者は「韓半島(朝鮮半島)の平和と繁栄、さらに統一を成し遂げるためには、中国の協力が欠かせないという認識が、今回の行事への出席の背景になった」と語った。

 朴大統領は天安門の楼閣で、ロシアのプーチン大統領に次ぎ、習主席から見て右から2人目の位置に立ち、軍事パレードを見守った。天安門の楼閣は、1954年と59年の2回にわたり、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)首相(後に主席)が中国の毛沢東国家主席と共に中国軍のパレードを参観した場所でもある。当時、両首脳は「抗美援朝(米国に対抗し北朝鮮を助ける)の血盟」を誇示した。だが今回、北朝鮮の代表として出席した崔竜海(チェ・リョンへ)朝鮮労働党書記が立ったのは、楼閣の右端だった。

 この日の行事には、朴大統領とプーチン大統領のほか、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長やカザフスタンのナザルバエフ大統領など、国家の首脳クラスの賓客が30人ほど出席した。だが、米国や欧州の大部分の国は首脳ではなく駐中大使・特使を出席させた。

 朴大統領としては、今回の行事への出席により、韓中関係の進展という成果を得られたが、韓米同盟の強化や韓日関係の改善という新たな課題を抱えることになったと指摘する声も出ている。国家安全保障戦略研究院のパク・ピョングァン北東アジア研究室長は「朴大統領の主導により、韓中日3カ国首脳会議の実施について合意し、さらに韓米、米中首脳会談も予定されている。朴大統領の今回の軍事パレード出席が、北東アジア情勢の好循環に結びつくようにしていくべきだ」と指摘した。

 習主席は今回の演説を通じ「中国は平和な発展の道を歩み、覇権主義を追求することはない。中国軍の兵力を30万人削減する」と述べた。これは中国の軍事力強化に対する周辺国の懸念を払拭するための発言と考えられる。だが、この日の軍事パレードは、中国軍の将兵約1万2000人と軍用機約200機、中距離弾道ミサイルなど各種の兵器約500基も動員され、史上最大の規模となった。

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