韓国の新人アイドルグループ「TWICE」のメンバー、ツウィ(16)の言動が連日韓国・中国・台湾で波紋を呼んでいる。韓国の番組で台湾「国旗」を振ったという理由で、中国のネットユーザーから激しい批判を浴びたのに続き、「見せしめ」のように中国に対し謝罪する動画が公開され、台湾で人々の怒りを呼んでいるためだ。13歳の時に「コリアン・ドリーム」を夢見て芸能事務所練習生として韓国に来た台湾の少女は、なぜ韓中台3国の懸案に浮上してしまったのだろうか。

■ユーチューブの動画でJYPがスカウト

 台湾・台南出身のツウィは中学生だった13歳の時、韓国の大手芸能事務所JYPエンターテインメントの練習生に選ばれ、ソウルに来た。JYP関係者は「スカウトチームのスタッフが偶然、動画共有サイト『ユーチューブ』にアップされていたツウィのダンス動画を見て、『可能性を秘めている人材』だと考え、台湾まで行ってスカウトした。子どものころからダンスレッスンを受けていたツウィはダンスや歌が好きで、K-POPも好きだったことから、すんなり契約した。練習生の時から優しく素直な性格で、仲間やスタッフの間でも評判が良かった。韓国料理もよく食べ、ホームシックもなく、すぐに韓国に慣れた」と語った。

 2年の練習生期間を過ごした後、昨年10月にアイドルグループTWICEのメンバーとして正式デビューした。ケーブルテレビチャンネルMnetの番組『SIXTEEN』がその足掛かりになった。『SIXTEEN』はJYPが新人アイドルグループをデビューさせるため、所属する女性練習生16人を競い合わせ、そのうちの一部だけをメンバーに選ぶというオーディション番組だ。ツウィは当初、ほかの候補に比べダンスや歌の実力が劣っていたが、番組の中盤あたりから実力をぐんぐん伸ばした上、ルックスがいいことからファンが増え、ファン投票1位になった。ツウィが番組に出ている様子が台湾でも知られるようになり、台湾のファン1万人以上も投票に参加、とうとうTWICEの最終メンバーに入った。

■本放送には出ていないのに…

 デビュー後、TWICEのメンバーの中でもひときわ注目を浴びたツウィは、通信企業「LG U+(エルジー・ユープラス)」のCMモデルにも起用された。同社は、ライバル企業の「SKテレコム」がアイドルグループAOAのソルヒョンを打ち出したマーケティングで人気を得ているのを受けて、「ツウィ・フォン」のCMで対抗した。これで人気に火がつき、バラエティー番組の出演オファーで優先順位ナンバーワンになった。

 問題はこうした時期に起こった。昨年11月22日のMBC『マイリトルテレビ』に出演したツウィが台湾「国旗」の「青天白日満地紅旗」を振ったことが後に問題になったのだ。この番組は、芸能人がそれぞれ個人のインターネット放送をして視聴率を競い合い、後にそのネット放送を編集してテレビで放映するものだ。ツウィはTWICEの日本人メンバー3人と一緒に出演した。4人は自己紹介の時、それぞれの国の「国旗」を振った。しかし、テレビの本放送では編集でカットされ、この部分の放送はなかった。

■人権問題に飛び火

 ところが、それから2カ月たった今月8日、台湾の独立に反対している台湾出身の歌手、黄安が台湾「国旗」を振るツウィの写真を中国のインターネット上にアップしたことから波紋が広がった。JYPとパク・ジニョン代表は「政治的な意図はなかった」と釈明、ツウィが謝罪文を読み上げたが、波紋は収まっていない。韓国では「ツウィ騒動」は人権問題に広がりつつある。社団法人「韓国多文化センター」は18日、「『ツウィ騒動』を起こしたJYPエンターテインメントとパク・ジニョン代表の人種差別・人権弾圧行為を国家人権委員会に提訴し、検察に告発する方針だ」という声明を発表した。

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