「オレは関羽だ! 無敵の将軍になって韓国を蹴散らすぞ!」

 1日夕、韓中戦が行われたソウル・ワールドカップ(W杯)スタジアム。京劇の関羽の扮装(ふんそう)をした「球迷(熱狂的な中国人サポーター)」ワン・ジョンルイさんが叫んでいた。

 ワン・ジョンルイさんは「関羽は5つの難関を乗り越えて6人の将軍に勝った。今日の中国は関羽と同じ勢いで韓国を破った」と言った。試合開始前から一生懸命応援していたため汗だくになっていて、フェースペイントは流れていた。

 ソウルW杯スタジアムの南側1・2階は黄色と赤の応援服を着た中国人サポーターが埋め尽くし、中国国旗「五星紅旗」を連想させた。ソウルではなく、まるで中国のスタジアムに来たようだった。中国人サポーターたちは地域ごとに集まって座り、「死力を尽くして韓国に勝とう」(湖北)、「中国代表の目標は勝利・勝利・勝利」(北京)など、それぞれの応援スローガンを叫んだ。韓国応援席からの声援が大きくなると、中国人サポーターも一斉に「中国必勝」と声を張り上げた。

 大韓サッカー協会によると、中国から来たサポーターたちの人数は1万人に達したという。遠征団が集まっている所のほかにも、スタジアムのあちこちに中国人サポーターがいた。韓国国内で行われたスポーツ競技における一国の外国人観客数は過去最多。記者はまるで中国応援団の一員のように彼らの中に座り、試合中の「球迷」の様子を観察した。

 中国遠征団はずっと立ったまま応援していた。スローガンは露骨で脅しまがいだった。韓国人選手がゴールを狙うたび、観客席のあちこちから「韓国消えろ!」などの叫び声が上がり、ブーイングが起こった。

 記者の隣に座っていた会社員のワン・ミンさん(35)は、8歳の娘に「中国がボールを取ったら、何でもいいからとにかく大声を出すんだ」と教えていた。

 しかし、韓国のゴールが相次いで決まると、中国側スタンドはあっという間に静かになった。韓国が3-0とリードすると、中国人サポーターのうち数人がタバコをくわえ、深いため息をついて煙を吹き出した。もちろんソウルW杯スタジアムは禁煙だ。ある中国人サポーターは「こんな試合を見るためにここまで来たのか」と頭を抱え、いすに座り込んだ。

 中国人サポーターたちは大変な苦労して韓国までやって来ていた。中国を出国する条件が厳しいため、1カ月前からビザを申請し、チケットを買うのも旅行代理店に普通より高い金を払ったという。チケットを売る条件として2泊3日のツアーを契約させられたケースも多かった。今回の試合のチケットはファーストクラスが7万ウォン(約6000円)、エコノミー席は場所によって3万-5万ウォン(約2800-4600円)前後だったが、中国からの遠征団はほとんどが手数料を含めて1.5倍近いお金を支払っていた。宿泊施設や食事の費用を合わせると、1試合見るために中国遠征隊が払った金額は、1人平均80万ウォン(約7万4000円)前後だとのことだ。熱心なサポーターは五星紅旗を翻し「まだ終わってはいない」と大声で叫んだ。中国が終盤に攻勢をかけると、サポーターたちはますます熱狂した。

 点差が3-2と縮まると、おなかにサッカーボールを描いたあるサポーターは、顔をかきむしりながら「どうかあと1ゴール(決めてくれ)」と繰り返し叫んだ。試合終了後、中国人サポーターに感想を聞いたところ、「負けはしたが、これだけやったならあきらめずによく頑張ったと言える。次の中国のホームゲームの時、韓国は痛い目に遭って帰ることになるだろう」と答えた。

ホーム TOP