9日で五輪まであと365日となった。五輪開催都市・江原道平昌郡は色とりどりのオブジェやパネルでムードが盛り上がりつつある。しかし、まだ「五輪開催都市」としては不十分だ。昨年から江原道と道民が協力し、飲食店・宿泊施設などを補修しながら観光客を迎える準備を進めているが、残された課題も多い。6日と7日の二日間にわたり見て回った平昌には、江原道だけでなく平昌五輪組織委員会や韓国政府も共に解決策を探らなければならない問題が多く見られた。

 20分ほど歩けばほとんど見て回れる横渓で、外国人客らは「食事をどう解決するか」という問題をいわば「ミッション(重要任務)」のように思っていた。平昌五輪のテストイベント期間中、ロシアから旅行で来た写真家ポポフさん(27)は「数日間、思ったメニューを正確に選んで食事できたことはあまりなかった」と言った。ポポフさんは韓国語が全く読めない。7日午後も横渓の飲食店街を歩き回り、どの店に入るか決めあぐねていた。ポポフさんは「韓国人はとても親切だが、飲食店の環境は友好的ではないようだ」と言った。

 メニューに英語で料理名が書かれている店もあるが、外国人客にとって分かりにくいのは同じだ。「ウゴジ(干したハクサイ)」は英語で「ugeoji」と書かれているが、果たして外国人がこれを見てどんな料理か推測できるのだろうかと思った。平昌のある飲食店店長は「英語のメニューにコンドゥレバプ(チョウセンアザミのナムル入りご飯)を『Rice with thistle』と書いたが、外国人客に手ぶり身ぶりで意味を説明しても通じなかった。特に、コンドゥレを説明しようと思って、『平昌のローカルフード(local food)だ』『山菜(mountain herb)だ』と言いかけてあきらめ、結局そのまま出した」と言った。こうしたニューの詳しい説明文を江原道や組織委員会ですぐに作成・配布し、普及させて店主らが活用できるようにすべきではないかと感じた。

 メニュー選びという山を越えても、次にまた難関がある。床に座って食事をするという「韓国型座卓」だ。特に西洋人は床に座って食事することを非常に不快に感じる。ソウルで6カ月間過ごした米国人大学生スティーブンソンさんは「私は身長186センチなので座卓の下に足がうまく入らない。座って食べるのがとても大変で、ソウルでもいすがあるレストランばかり行った。こういう点が解決すれば、観光客も満足なのでは?」と提案した。

 この町の飲食店がほとんど韓国料理店であることも、外国人客にとっては悩みだ。ベジタリアンだという台湾人男性は、今月初めに平昌を訪れた際、フェイスブックに「ここで『ベジタリアン・レストラン』を探したが、『ミッション・インポッシブル(実行不可能な任務)』だった。看板にも何の表示もない。散々歩き回って適当な場所に入り、しょうがないので肉を頼んで食事をした」と書いた。平昌五輪組織委員会で働く米国人リサさん(34)は「平昌に初めて来た外国人が一番戸惑うのが、それぞれの国の固有の料理を食べるのは事実上、不可能だということ。世界の料理を集めたフードコートが来年できればいろいろ助かるはずだ」と言った。

 掃除が行き届いていなかったり、しゃがみ込んで用を足す和式トイレが所々にあったりするのも問題だ。男性用トイレの小便器が汚れていて、冬でもにおいがひどい所もあった。飲食店によって違うが、和式トイレが半数を超える所も多かった。江原道は2016年初めから「調理設備を開放し、立食テーブルを設置するなど、飲食店の環境を五輪基準に合わせて改善しよう」と呼び掛け、飲食店主らを支援している。しかし、その江原道さえも予算問題を盾に積極的に介入してはいない。江原道の集計によると、五輪開催都市の平昌郡・旌善郡・江陵市の飲食店で補修工事をしたのは3308店中38店に過ぎなかったという。特に、五輪開催メイン都市の平昌郡にある飲食店1100店のうち、五輪基準に合わせて施設工事をしたのは現時点で6店だけだ。

 今のままでは、江原道内の宿泊も外国人観光客にとってまた別の「挑戦」になりそうだ。平昌郡や江陵市をはじめとする道内の主なリゾート施設や高級ホテルは来年の五輪期間中、既に国際オリンピック委員会(IOC)関係者や各国役員団に割り当てられている。このため、これらのホテルより評価が低い残りの宿泊施設に観光客を宿泊させることになるが、ベッドがない施設も依然として相当数に上る。江原道の支援で改善工事をした宿泊業者は、3市・郡にある宿泊施設290カ所のうち36カ所(12.4%)だ。江原道ではトイレ補修などの改善事業を勧めているが、宿泊施設の事業主たちも「コストの問題や必要性」などの理由で積極的ではない。江原道関係者は「今年は3市・郡で飲食店183店、宿泊施設148カ所を追加で改修する計画だ。五輪まで全職員が観光客の応対にエネルギーを集中させている」と語った。

 漢陽大学観光学部のイ・フン教授は「残った期間に、環境がきちんと整備された所は自治体で認証して事業がうまくいくよう誘導する一方で、整備が必要な所にはさらに支援するという2つの政策が必要だ。国際大会開催後、江原道と平昌郡は世界的な観光地になるだろうということを自治体と道民が共有し、『我らの大会』という意識を持つことが重要だ」と述べた。

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