オーストラリアの戦車部隊の将校だったジョン・フレーザーさん(84)は、妻(80)、息子(50)と共に7日午後、ソウル市の竜山戦争記念館を訪れた。フレーザーさんの家族は、オーストラリアからアラスカに向かう76日間のクルーズ旅行を通じて、同日午前6時ごろ仁川港に到着した。観光客たちが韓国にとどまるのはこの日1日だけだ。フレーザーさんは、非武装地帯(DMZ)や景福宮など他の名所には足を運ばず、戦争記念館だけで半日を過ごした。3時間にわたって記念館内にある6・25戦争(朝鮮戦争)室と外部の国連軍戦没者名碑を見学した。フレーザーさんは「命をささげて戦ったオーストラリア軍と国連軍に敬意を表するため、戦争記念館を訪れた。入り口をいっぱいに満たした戦没者名を見ながら、韓国戦争(朝鮮戦争)の惨状を生々しく感じることができた」と話す。

 6月10日で開館から23周年を迎えた戦争記念館が、韓国を訪れた外国人観光客に人気だ。2015年に世界最大旅行サイト「トリップアドバイザー」が選ぶ大韓民国の名所1位にのし上がった。昨年は「アジア・ランドマーク・トップ25」に、景福宮(20位)と共に韓国で初めて選ばれた(25位)。

 戦争記念館の年間200万人に上る来館客のうち外国人が占める割合は、10%ほどとみられている。韓国戦争の参戦国(16カ国)と医療支援国(5カ国)のみならず、中国や日本などから訪れる観光客たちも多い。戦争記念館の関係者は「中国人観光客の場合、韓国戦争の時、米国を相手に対等に戦ったと誇らしく思う人々と、韓国戦争を客観的に把握したいという人々に分けられる」という。解説役を務めるキム・サムゴンさん(70)は「ビンセント・ブルックス在韓米軍司令官は、太平洋陸軍司令官として在職した2016年に韓国を訪れた際、戦争記念館を約2時間にわたって見学した。映像資料から愛国歌(韓国の国歌)が流れると、一緒に歌っていた」と笑みを浮かべる。

 先月にはエチオピア人の韓国戦争参戦者、イルマ・ベラチョさん(85)が戦争記念館を訪れた。ベラチョさんは、エチオピア皇室近衛隊出身の兵士で構成された「ガンニュー部隊」の小隊長として参戦した。64年ぶりにまた韓国を訪れたベラチョさんは、懐の中から5枚の写真を取り出し、戦争記念館のイ・ヨンゲ館長に手渡した。60年前にエチオピアでガンニュー部隊の韓国戦争出征式を行った際にセラシエ皇帝に報告する姿などが盛り込まれた写真だった。ベラチョさんは「今後は戦争記念館に展示されることで、エチオピアも韓国の血盟という点を物語る証拠になったらと思う」と話した。

 戦争記念館には、このように外国人が寄贈した遺物も展示されている。現在まで32カ国、242人が武器や装備、衣服、文書、写真などの遺物4270点を寄贈している。

 米国人のゲール・フェルキーさん(56)は、2012年に1019枚の写真を寄贈した。フェルキーさんの父であるポール・グルド・シュレジンガーさん(1930-2009)が、米陸軍写真兵として韓国戦争に参戦した際に撮影した写真だった。シュレジンガーさんは、戦争が終わるころ、大邱でキム・ミョンスクさんに出会って結婚。米国で娘のゲールさんを生んだ。ゲールさんは、メディアとのインタビューで「父の韓国戦争参戦とその戦争が結んだ両親の人生が(写真を通じて)忘れられないものとなることを願っている」と話した。

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