18日、平昌冬季五輪スピードスケート女子500メートルが行われた江陵オーバル。15組アウトコースからスタートした李相花(イ・サンファ、28)は歯を食いしばって力走し、37秒33でフィニッシュラインを通過した。14組で滑走したライバル小平奈緒(31)=日本=に0.39秒届かない記録だった。小平のレースを全く見ずに、結果も分からないままスタートラインに立った李相花だったが、レースを終え、最終結果を確認した後、とめどなく涙をこぼした。「李相花」と連呼していた観客たちは「泣くな」と叫んでいた。

 最終16組の滑走が終わり、銀メダルが確定した李相花は、何とか気持ちに整理をつけて大きな太極旗(韓国国旗)を手に持った。李相花が太極旗と共にリンクを回ると、競技場を埋め尽くしたファンは李相花に熱い歓声を送った。

 李相花は優勝した小平に近付いていった。2人は長年の友人関係にある。国際大会でよく顔を合わせるうちに親しくなり、2007年には小平が韓国に遊びに来て一緒にサウナに行くほど厚い友情を交わすようになった。3年前のソウルW杯終了直後、オランダに行く小平の空港までのタクシー代を、李相花が払ったこともあった。しかし、この2シーズンは小平の方が李相花を毎回上回るようになり、2人の関係は少しぎこちなくなった。李相花は小平のことを話す時、名前ではなく「あの選手」という表現を使うこともあった。

だが、五輪の舞台で全力を出し尽くした2人は違っていた。李相花と小平は力強く抱擁した。小平が先に「あなたは私が尊敬する選手だ」と言い、李相花は「500メートルと1000メートルの両方で素晴らしい滑走をするあなたを誇りに思う」と言った。李相花は記者会見で、「あの選手」ではなく「奈緒」と下の名前で呼んだ。李相花は試合後、「フィニッシュラインを通過した後、『今、終わったんだ』という安堵(あんど)感から涙が出てきた。ソチ五輪後から金メダルを目指して突き進んできたが、その過程は本当につらかった。価値のある銀メダルを励ましてほしい」と言った。

 李相花は平昌五輪を「『我が家』で行われる大会だ」と表現した。自国開催の五輪はソチ大会以降相次いだけがや、つらい練習に耐える原動力になった。8000人のファンの歓声に包まれ、李相花は表彰台の上で笑顔を見せることができた。

 試合当日の18日、スタンドには両親と兄が来ていた。これまで娘の心の負担になるかと思って一度も競技場に来たことがなかった両親に、李相花は「今回はぜひ来て応援してほしい」とお願いした。李相花は「とても緊張したが、両親が一緒にいると思うと大きな力になった」と言った。4年後の北京五輪にも出場するか、という質問には、未練がある表情で「面白い質問だが、次の計画はよく分からない。一度じっくり休みたい」と答えた。

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