韓国で所得下位10%の世帯の子女が国民全体の平均所得を得るまで5世代程度かかるという分析を経済協力開発機構(OECD)が明らかにした。貧困世帯の夫婦の孫、ひ孫の世代にならなければ、中産階級に浮上できないことになる。1世代を30年とすれば、150年かかる計算だ。

■所得移動性はOECD平均水準

 OECDが15日、「社会的エレベーターは崩壊したのか」と題する報告書で、2015年時点で韓国の所得下位10%の世帯で生まれた子孫が平均所得を得る中産階級になるまでの期間は5世代と推定され、調査対象となったOECD24カ国の平均(4.5世代)を上回った。米国、英国などが韓国と同じ水準だった。24カ国のうち、低所得層が最も早く中産階級になることができる国はデンマーク(2世代)、ノルウェー、フィンランド、スウェーデン(3世代)など北欧国家だった。欧州主要国のうちドイツ、フランスは韓国より長い6世代かかると分析された。

 韓国の世代間所得弾力性は0.4と推定された。これは父母世代の所得格差が2倍とした場合、子孫世代の所得格差が1.4倍になることを示す。OECDは「父母世代の所得格差は40%ほどが子の世代に受け継がれることを示す」と説明した。韓国の世代間所得弾力性水準は、分析対象26カ国中16位で、OECD平均(1.384倍)に近い水準だ。OECD加盟国の父母の所得格差の38%が子の世代に受け継がれることを示すものだ。ソウル大社会福祉学科の安祥薫(アン・サンフン)教授は「資本主義社会は個人が努力しただけ報われるという原理が働けば、最もうまく機能する。社会移動性が低下すれば、結局は社会に対する悲観と不満が高まる」と述べた。

■社会移動性が低下

 専門家は韓国の「社会移動性」が最近になって低下していると分析する。延世大社会学科のハン・ジュン教授が昨年、韓国経済研究院のセミナーで発表した「韓国の社会移動性向上のための方案」によると、最近の青年世代(1987-94年生まれ)では、父母世代よりも良い職業を得る「上昇移動」の割合は57.7%と分析された。これに対し、20年前の青年世代(1966-75年生まれ)では上昇移動の割合が69.8%だった。いわゆる「386世代」に比べ、現在の青年世代の上昇移動の割合は12ポイント低いことになる。

 社会移動性に対する認識も悪化した。韓国統計庁の調査で「子女世代に現在より社会的地位が高まる」と答えた国民の割合は2009年の48.4%から昨年は30.6%に低下した。成太胤(ソン・テユン)延世大経済学部教授は「社会移動性が低下すれば、『努力しても無駄だ』というマイナス意識が高まり、社会の活力低下につながる」と指摘した。

 OECD研究陣は社会移動性を高める方法として、「平等な教育機会提供」に注目した。今回のOECDの調査で韓国は父母より学力が高い人の割合が57.5%と調査対象26カ国でトップであり、OECD加盟国平均(39.2%)よりはるかに高かった。教育機会に関しては他国よりも父母の影響を受けていないことを意味する。成均館大社会学科のク・ジョンウ教授は「韓国では高学歴でも階層上昇につながりにくいことを示している」と指摘した。

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