野党・自由韓国党の金秉準(キム・ビョンジュン)非常対策委員長は30日、「国民は愚かではないのに、『モクパン』(グルメ番組や食レポ番組など、食べる様子を見せて、見ている人の食欲をそそる番組)を規制するというのは国家主義的な発想だ。朝鮮時代ではあるまいし、なぜ国がいちいち食べることまで干渉し、市場に介入するのか」と批判した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で大統領府政策室長や教育副首相を務めた同委員長は18日の就任記者会見でも、「文在寅政権は国家主義的だ」「盧元大統領だったら現政権の政策に拒否権を行使しただろう」などと発言、与党との攻防があった。このため、盧武鉉政権出身の同委員長が、文在寅政権を「国家主義政権」だとして繰り返し批判する「烙印(らくいん)戦略」により、政界で存在感を高めているとの見方もある。

 金秉準委員長は同日、党会議やラジオとのインタビューで、与党を念頭に、「私が『政府・与党は国家主義的性向が非常に強い』と言ったところ、『とんでもない』『枠にはめようとしている』などと言われた。しかし、先週もフランチャイズ店や高速道路休憩所の飲食店の食品原価を公表すると言ったという報道があった。このようなことまで国がすべての原価を公表すると言ったため、街では批判の声がかなり上がっている。それは単に文在寅政権に限ったことではなく長年続けられていることだが、今こそ我々がそれを断ち切る時だ」と語った。野党関係者は「金秉準委員長は近代から現代にかけての王朝・軍事独裁・左派政権とつながる官治経済に反対する見解を持っている。金秉準委員長は『盧武鉉政権は市場を少なくとも尊重はしていたが、文在寅政権は市場を最初から規制したがっている』と考えている」と述べた。

 与党は金秉準委員長を批判し続けている。盧武鉉政権で首相を務めた現・共に民主党の李海チャン(イ・ヘチャン)議員は29日、党代表出馬記者懇談会で、「韓国は完全には自由市場に委ねることができない国で、ある程度は国の役割が必要だ。非常にミクロ(微視的)なことをもって全体を規定するのは正しい見解ではない」と言った。これに対して金秉準委員長は「(国家主義的な所が)あちこちにあるではないか。ミクロなことがあちこちにあれば、マクロ(巨視的)なことになる」と反発した。

 政界には「親盧右派」(金秉準委員長)と「親盧左派」(李海チャン議員)が「市場VS国家」をめぐり舌戦を繰り広げているとの見方がある。金秉準委員長が先日、文在寅大統領に提案した「経済トップ会談」が実現すれば、同じテーマで討論になるという声もある。同委員長は「トップ会談は当然単独(1対1)で、互いが話を拒否する理由はない」と言った。同委員長は先日、韓国軍機務司令部による「戒厳例布告検討文書」問題に関しても「クーデターや内乱陰謀だと見なすなんて話にならない。不十分な内容の質の低い危機管理マニュアルに過ぎない。当時の国防部(省に相当)長官や機務司令官がクーデターを謀議した状況証拠もないのに、過剰な解釈をしている。マニュアルなら処罰できないではないか。ただ、なぜ機務司令部が作成したのかを解明するという部分で、越権や職権乱用はあり得る」と与党を批判した。

 金秉準委員長は、先日の魯会燦(ノ・フェチャン)議員=正義党=の死に関して、洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党前代表が「自殺美化」論争を招いた件については保留の姿勢を見せた。同委員長は「自殺が美化されてはならないということは我々みんなが知っていることだ。だが、洪準杓前代表が話したから批判されているようだが、個人のキャラクターとも関連があり、具体的に話をする事案ではない。保守でも進歩でも政治家は美しい言葉を使うべきだと思う」と述べた。

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