「晩さんの『晩』という字は『時刻が遅い』という意味の『晩』の字を書くが…」

 大統領府の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は6日午後の記者会見で突然、漢字で「晩さん」の話を始めた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が北朝鮮に派遣した特使団が平壌でどのように昼食・夕食を取ったのかについて語った時のことだった。前日夜までの時点では、特使団は北朝鮮指導部との晩さん会に出ると伝えられていた。大統領府関係者が記者室のある春秋館に来て、「予定になかった晩さん会をするところを見ると、(雰囲気は)悪くはなさそうだ」と言ったからだ。

 ところが、金宜謙報道官が同日、遅ればせながら確認した昼食と夕食はそうではなかった。5日に平壌に到着した特使団は、午前中は金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と面会し、昼食は金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長、李善権(リ・ソングォン)祖国平和統一委員会委員長と共にした。金正恩委員長は特使団と面会はしたが、昼食会には欠席し、夕食時は北朝鮮側の人物は誰も来なかった。だから、韓国からの特使団団員だけで夕食を取ったというのだ。

 これについて、金宜謙報道官は「昼食を終えた後、南北間で首脳会談のための協議を午後3時から行った。それが長引いたため、北朝鮮側が準備した夕食を特使団5人だけで取ってから(韓国に)戻った」と言った。協議が思ったより遅く終わり、相手側が夕食を用意してくれたので食べて帰ってきたということだ。今年3月の第1回特使団訪朝時は金正恩委員長が李雪主(リ・ソルジュ)夫人を連れて晩さん会に現れてもてなしたが、それとは大違いだ。

 ある記者が「晩さんというのは客を招待して一緒に食べることではないのか」と質問すると、金宜謙報道官は「そのような意味の晩さんは予定になかった」と答えた。前日までとは違い、特使団だけの事実上の「一人飯」だったことを告げなければならなかったため、さぞかしきまりが悪かったことだろう。

 大統領府は「今回の特使団訪朝は成功だ」と言った。文大統領も「特使団(派遣)の結果は本当に素晴らしいことだ。期待していたよりもはるかに良い成果を持ち帰ってきた」と言った。だが、特使団に対する北朝鮮側の待遇は期待に遠く及ばないのでは、という疑念は消えない。その結果が「一人飯」という形に現れている可能性が高い。

 昨年12月に文大統領が訪中した時も、大統領府は「一人飯」騒動が降ってわいた。文大統領は4日間にわたり中国を「国賓」訪問したが、10回の食事のうち中国側関係者と共にしたのは2回だけだった。このため「外交冷遇論」が起こると、大統領府側は「食事を一緒にしなければ意味がないのか」「形式が簡素でも、内容さえ充実していれば、それが首脳会談の成果だ」と言った。

 しかし、外交では形式が実質的な内容を反映していることが多い。盛大な儀典行事まではしなくても、「一人飯」せざるを得ないほど放っておくのは、会談相手に対して明らかに礼を欠いている。文在寅政権の相次ぐ「外交での一人飯」は、対中外交・対北朝鮮政策への警告かもしれない。政府はこのことから何とかして目を背けようとするのではなく、相手の本音を冷静かつ徹底的に見極める契機にしなければならない。

政治部=金真明(キム・ジンミョン)記者

ホーム TOP