少し前、ソウル・江南で人気のクラブに行った。なぜか客としては入ることができなかったので、別の理由をつけなければならなかった。「VIPルーム」も見た。階下のダンスホールが広々と見え、外からは内部を見ることができなかった。建物の外に通じる別の出入口があり、そのすぐ前まで車を寄せることができるが、一般客と出くわすこともなかった。富裕層が私的なパーティーを開くために来るそうだ。「バーニングサン」や「アリーナ」のようなクラブのVIPルームも同様だろう。

 このような高級クラブも、内部構造や、酒を飲んで踊ったり遊んだりする点では一般的なクラブとほとんど変わらない。しかし、インテリアや酒・つまみの「格」が違い、何よりも客の容姿を意味する俗語「水」が違うという。一般的なクラブでは「ウェイター」と呼ばれる従業員のことを、ここでは「MD」と呼ぶ。商品企画担当者を意味する「マーチャンダイザー」の略だが、「水(ムル=容姿)が良いゲスト(客)」、つまり「ムルゲ(水とゲストを表す韓国語の略)」の渉外役だ。そうした渉外役は「ピックアップ」と言われる。

 バーニングサン事件で、クラブのVIPルームで繰り広げられたみだらな行為の詳細が明らかになった。「ピックアップ」されそうになった女性客を止めようとして、セキュリティー担当者に殴られたというある男性がインターネット上に書き込みをした。それがきっかけとなり、警察が絡む贈収賄や麻薬・脱税・性接待などさまざまな疑惑が相次いでいる。関与したアイドル2人が芸能界から去った。1人は韓国を代表する韓流アイドルであり、もう1人はオーディション番組出身の「歌手兼タレント」だという。

 前者はフィリピンのリゾート地を丸ごと貸し切りにして誕生日パーティーを開き、数億ウォン(数千万円)を使った際、ルームサロン(ホステスのいる高級個室クラブ)の従業員十数人を連れて行ってクラブのような雰囲気にしようとしていたそうだ。後者は普段は礼儀正しいことで知られていたが、その実はグループチャットで性行為動画を回し見して笑っていた。番組で「カカオトーク専用」だとしてそのスマートフォンを自慢したこともあった。

 韓国ではアイドルのことが立派な文化伝道師のように見なされているが、実際には「企画商品」に過ぎない。テレビ局では彼らをさまざまな番組に出して虚像を作り上げ、その虚像を利用してまた番組を作る。社会学者のカリフォルニア大学バークレー校ジョン・リー教授は、アイドルがけん引するK-POPを「文化や美学を問うことのない赤裸々な商業主義」と言った。金と人気を持て余した若いアイドル(偶像)が密室で悪事を働き、発覚したのが今回の事件のてんまつだ。だから、実はショックを受けたり失望したりするようなことでもない。「そんなことだろう」と思っていたことが事実だと明らかになっただけだ。本当の大衆芸術は今、この瞬間もテレビではなく孤独なレッスン室で汗を流し、生まれようとしている。

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)論説委員

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