主力の外国人選手抜けた慶南FCで毎試合活躍

 昨年Kリーグ1で準優勝して世間を驚かせた慶南FCだが、最近は戦力が大幅に下がっている。昨年リーグMVPと得点王に輝いたストライカーのマルコンと、慶南所属で韓国代表になったDFパク・チスが中国リーグに行き、MFチェ・ヨンジュンも全北現代に移籍した。さらに悪いことに、セリエAでもプレーしたことのある新入団ルク・カスタイニョス=オランダ=はけがで戦力から外れている。

 それでも慶南は最近5試合で1勝1敗3分とそれほど悪くない成績だった。リーグ上位の全北現代と3-3で引き分け、イングランド出身のジョーダン・マッチが懲戒処分で外れた水原サムスン戦でも3-3の引き分けとした。現在勝ち点9でリーグ8位にとどまっているが、1試合勝てば5位に浮上する。慶南の善戦の陰には「最後の砦(とりで)」でチームの崩壊を防いでいる1997年生まれの日本人MF邦本宜裕の存在がある。

 邦本は最近、慶南で「青年家長」と呼ばれている。若くしてほとんど1人でチームを支えているという意味だ。20日の水原戦もその一面がうかがえた。邦本は0-1で同点PKを成功させ、CKから逆転ゴールまでアシストした。広い視野と正確なパスでチームメイトたちにゴールのチャンスを提供した。試合は引き分けに終わったが、この試合の公式最優秀選手(MOM=Man Of the Match)が邦本であることは敵・味方関係なく明らかだった。開幕戦の城南FC戦(2-1で勝利)決勝ゴール以降、毎試合大活躍していることから、早くも「シーズン・ベストイレブン」の呼び声が高い。選手層が厚くない地元民チームの慶南は、11試合で2ゴール・4アシストを記録した邦本の活躍により、リーグ、FAカップ、アジア・サッカー連盟(AFC)チャンピオンズリーグで頑張っている。

 日本では、邦本はコントロール不能な「悪魔の才能」を持つことで知られている。16歳の時にJリーグ浦和レッズに入団したが、タバコを吸うなどの素行不良を理由にチームをやめ、アビスパ福岡でも「秩序風紀を乱した」として契約解除になった。

 規律が厳しい日本のサッカー社会に合わなかった「悪童」は2017年末、慶南の入団テストに合格して新たなサッカー人生を歩み始めた。慶南の金鍾夫(キム・ジョンブ)監督はまじめに練習さえすればいいとして邦本の私生活に干渉せず、試合中も自由にプレーさせた。身長173センチメートル、体重74キログラムとガッチリした体格で猪突猛進するかのようにドリブルするスタイルがKリーグ向きだったことから、邦本は韓国にすぐになじんだ。

 邦本は今月9日のAFCチャンピオンズリーグで鹿島アントラーズと対戦した。日本のリーグをやめてから初めて日本のサッカーチームと対戦するため、その覚悟は並々ならぬものだった。彼はその試合でオウンゴールを引き出し、追加ゴールでもアシストするなど、慶南が入れた2ゴールにかかわった。しかし、慶南は鹿島の反撃を阻止できず、2-3で逆転負けを喫すると、怒りが収まらないまま覚悟を口にした。

 「ホーム(韓国)で負けたから、アウエー(日本)で必ず勝つ」

 慶南は24日午後7時、鹿島とのリターンマッチに臨む。

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