2年前、米国で発表された心理学の論文で行った実験に、次のようなものがある。100組のカップルを募り、1週間にわたり恋人を疑ったことと、恋人以外の異性に心引かれたことの両方を記録させた結果、「恋人以外の異性に心引かれる人は、自分の恋人を疑う傾向がある」という結論に至ったという。恋人以外の異性に心引かれる人は、罪悪感を隠そうと、恋人に「浮気したのでは?」と問い詰める。おならをしたのは自分なのに、「おならをするなんて」と腹を立てる心理が実験で証明されたということだ。

 居直りや逆ギレが多い所と言えば政界だ。大物政治家の居直りの数々が政治史の局面を変えたこともある。金泳三(キム・ヨンサム)元大統領は自身が署名した内閣制改憲合意文が公になるや、「流出の真相を明らかにせよ」と慶尚南道馬山に下り蟄居した。金大中(キム・デジュン)元大統領は政界引退後に復帰し、「民族の運命が重大な岐路に立っているのに、与野党が自分の役割を果たせていない」と一喝した。気力で負けられない厳しい闘いの中では、ある程度の居直りは理解できる面もある。

 韓国の政界には最近、明らかな過ちを覆い隠そうという、くだらない居直りばかりがあふれている。ある与党議員は空港で「身分証明書を見せてほしい」と言われて、「規定集を持って来い」と怒鳴りつけ、「職員に高圧的な態度を取られた」と言った。与党の総選挙戦略を立てているとされる大統領側近は、国家情報院院長との不適切な会合が報道されると、「こっそり後を付けて何を知ろうとしているのか」と、メディアを「パパラッチ」扱いした。番組に出演し、「韓米首脳の電話会談の録音を手に入れた」と主張していた元議員は、「虚偽事実の流布に法的対応を取る」と言った。

 今年1月に与党・共に民主党を離党して無所属になった韓国国会の孫恵園議員は「木浦不動産投機疑惑」が初めて報じられた時、「私の人生と全財産、議員職を懸けて誓う。命も懸ける」と言った。疑惑を報道したメディアに向かって、「あなたがたは何を懸けるのか」とも言った。比例代表・全羅南道木浦地方区の朴智元(パク・チウォン)議員=民主平和党=が疑惑提起に賛同すると、「一緒に検察の調査を受けたい」「(次の総選挙で)朴智元の対立候補の選挙カーに一緒に乗りたい」と言った。最大野党・自由韓国党が、孫恵園父親の独立有功者指定に関して疑惑を取りざた時は、フェイスブックに「お前らの父親は当時、何をしていたんだっけ?」と書き込んだ。

 今回、検察が起訴すると、孫恵園議員は機密資料を見せた木浦市長の責任を問うべきだと言った。「機密資料だと言った検察が大きなミスを犯したものだ」とも言った。「検察の調査で投機事実が明らかになれば議員を辞める」と言っていたのに、「強引な捜査結果」だと突っぱねた。心理学者は「孫恵園議員は自身が不利になると虚勢を張り、相手に高圧的な態度を取る賭博場心理戦を展開している」と分析する。追い込まれれば追い込まれるほど強気に出る孫恵園式対応を若い世代がまねてしまうのではないかと心配だ。

イ・ドンフン論説委員

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