ベトナム・メディアとの取材で妻「出産後はもう殴らないという約束を信じていた」

 記者が8日朝に全羅南道霊岩郡三湖邑竜仰里の多世帯住宅を訪問したところ、周辺には中国語やタイ語などさまざまな言葉の看板が設置されていた。看板には「中国・ベトナム・フィリピン結婚書類、永住権取得(手続き代行)」などと書かれていた。ここは木浦市内から車で10分ほど、ベトナム人妻を2歳の息子の前で激しく暴行している様子がニュースなどで報じられた男(36)が住んでいた地域で、男はすでに逮捕されている。そこから1キロほど離れた大仏国家産業団地で働く労働者が周辺に数多く居住しており、中国、ベトナム、タイ、フィリピンなどからやって来た外国人も多い。霊岩郡に住む外国人は3688人だが、その86%に当たる3207人がこの三湖邑に集まっている。飲食店を経営する50代のある住民は「産業団地で働く外国人労働者と、移住してきた女性が地域住民のほとんど」と語る。犯人の男のように、移住してきた外国人女性と韓国人男性が結婚してできた家庭も多いようだ。

 この地域では、韓国人男性が外国人妻を暴行する事件が今年だけで数件発生している。警察は「外国人妻たちは『夫と離婚すれば韓国に住めない』と考えているので、警察への通報をためらっている」と語る。表沙汰にならない暴力事件が非常に多いことを物語っているのだ。

 光州地裁木浦支院は8日「逃亡の懸念がある」との理由で男の逮捕状を出した。逮捕状審査の際に男は「妻とは言葉が違うので、イライラが募っていた」「他の男たちも同じだ。福祉会社でもっと支援をしてほしい」などと訴えたという。前日に警察は「男が報復に乗り出す恐れがある」との理由で、男を特殊傷害罪と児童福祉法違反(児童虐待)などの容疑で逮捕状を申請していた。

 全羅南道地方警察庁によると、男とそのベトナム人妻(30)は先月16日から事件現場となった多世帯住宅4階の33平方メートル(約10坪)の部屋に住み始めた。保証金100万ウォン(約9万2000円)に毎月の家賃は33万ウォン(約3万円)だった。大仏産業団地で日雇いとして働く男は妻に対し、日常的に暴力を振るっていたことが取り調べで分かった。男は韓国人女性とも2回の結婚歴があり、その間に2人の子供もいた。暴行当日の今月4日に男は、午後3時ごろから4時間にわたり焼酎2本と缶ビール3本を飲んでいた。帰宅した男は妻を手や足、さらには焼酎の瓶などで午後9時から3時間にわたり激しく暴行し、息子に対しても釣りざおなどを使って足の裏を3回たたいたという。

 妻はこの日、ベトナムのネットメディアとのインタビューで「夫はサンドバッグを殴るように私を殴った」「今回は暴行がとてもひどかったので、警察に通報した」などと語った。妻は2014年に造船所で働いていた際に男と知り合ったようだが、当時から男は何度も暴行を繰り返してきたという。妊娠してから妻はベトナムに戻って子供を産み、男とは連絡を絶った。妻は「ある日、夫が寂しい声で『一人でご飯を食べている』と言ってきたので、罪の意識を感じた」「もう殴らないという言葉を信じて韓国に戻ってきたのに、こんなことが起こった」と取材で話していた。

 妻が男からの度重なる暴行に耐えてきた理由は、大韓民国の永住権を得て帰化の条件を満たすには最低でも2年間、韓国国内に滞在しなければならないからだという。二人は今年4月に結婚届を提出し、妻は先月、韓国に戻る際に結婚移民ビザ(F6)を取得した。このビザがあれば1年間、韓国国内での滞在が認められる。結婚により移住した女性は結婚から1年後、国内で居住を続けているかどうか審査を受けるが、その際には夫による身元保証が必要だ。このハードルを越えれば再び1年の在留許可が得られる。警察は「このような理由のため、結婚して移住した多くの女性が夫からの暴力を我慢しながら生活する悪循環が続いている」と指摘する。光州出入国管理事務所(出入国在留管理局に相当)は「この妻の場合、夫が暴行する様子がビデオで立証されたので、夫の責任が認められる可能性が高い」「そうなれば今後追放されることなく滞在期間が延長され、韓国国内にとどまることができるだろう」とコメントした。

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