112億ウォンのC130H輸送機事業も1億4400万ウォンのみ執行

 韓国国防部(省に相当)が、北朝鮮の核とミサイルに対応するための大量反撃報復(KMPR)関連予算について、低調な水準で執行していることが20日までに判明した。特に、有事の際に北朝鮮の指揮部を取り除くため創設した「斬首部隊」の予算は、執行率5%という水準にすぎなかった。

 国防部は今年初め、国防中期計画を通して、北朝鮮の脅威に対応するための3軸体系の名称を「WMD対応体系」に変更し、KMPRの名称も「圧倒的対応」に変えた。国防部はこれまで「名称を変えるだけで内容は変わらない」としていたが、韓国軍内外からは、一部の概念が実際に無力化されているのではないか、という声が上がった。

 国防部が20日、保守系最大野党「自由韓国党」の白承周(ペク・スンジュ)議員に提出した資料によると、韓国軍は昨年、北朝鮮の核・ミサイル対応のための予算のうち、KMPR関連予算を62.6%しか執行しなかった。その中でも、KMPRの中心概念だった特殊任務旅団(斬首部隊)関連予算の執行が特に低調だった。国防部は、斬首部隊の予算3億3700万ウォン(現在のレートで約2970万円。以下同じ)のうち1800万ウォン(約158万円)しか使わなかった。予算執行率は5.3%にすぎなかった。斬首部隊は2017年、有事の際における北朝鮮の指揮部の除去やWMD(大量破壊兵器)破壊を目的として創設された。だが9・19南北軍事合意の後、韓国軍は斬首部隊関連事業に消極的な立場を示した。最近では、斬首部隊に補給された消音装置や照準器、拡大鏡、夜間暗視装置などを南スーダン派遣部隊(ハンビッ部隊)の訓練用に転用した事実も判明した。

 KMPRと関連があるC130H輸送機性能改良事業も、112億2100万ウォン(約9億8730万円)のうち1億4400万ウォンしか執行しなかった。国防部は、2018年国防予算編成結果を説明する際に浮き彫りにされたチヌーク・ヘリ(CH/HH47D)性能改良事業関連予算も、31億6400万ウォン(約2億7840万円)のうち3200万ウォン(約280万円)しか使わなかった。総予算の1%しか執行しなかったのだ。韓国軍関係者は「KMPRは旧3軸体系の概念の中でも、敵の指導部を打撃するなど、積極的防御の概念」だとして「政権の現在の基調とは合わない事業概念だと考えられる」と語った。

 国防部は、最近国防中期計画の代表事例として宣伝した「停電弾」事業についても、予算を全く執行していないことが判明した。国防部は、2020-24中期計画を発表した際、2020年代末に停電弾を開発・配備したいと発表した。だが配分された研究・開発予算5億ウォン(約4400万円)を一文たりとも使っていないことが判明した。白議員は「国防部は最近、北朝鮮が相次いで挑発を行うや、まるで機敏に対応しているかのように主張してきた。だが肝心の、定められた予算もきちんと執行していないのを見れば、北朝鮮の核・ミサイルに対応する意思があるのかどうか疑念を抱く」と語った。

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