サウジアラビア国営企業の石油関連施設にドローンによる攻撃で大きな被害が発生したことを受け、韓国軍も対策に乗り出した。北朝鮮もレーダー探知が難しい小型ドローンはもちろん、長距離の攻撃能力を持つ自爆型無人攻撃機などの製造・配備を進めているからだ。

 韓国国防部(省に相当)と合同参謀本部によると、2014年に京畿道坡州市、ペンニョン島、江原道三陟市で墜落した北朝鮮の小型ドローン3台を復元して実験を行ったところ、3-4キロの爆弾は搭載できないが、400-900グラム程度の手りゅう弾なら1個は運べる性能があることをすでに確認しているという。しかし北朝鮮は小型無人機の性能向上にも取り組んできたため、今では有事の際に3-4キロほどの爆弾を搭載し、韓国の主要施設に衝突させ自爆攻撃ができる能力をすでに確保した可能性も高いようだ。

 さらに北朝鮮は今回のサウジアラビアでの石油施設攻撃の黒幕とされるイランと関係が深く、核やミサイルはもちろん、無人機などでも緊密な協力を続けてきた。北朝鮮が配備している無人攻撃機は小型無人機より大きいためレーダーで捕捉できるが、一方で搭載できる爆発物の量は多く、最大で250キロ先の目標を攻撃できるという。

 北朝鮮の無人攻撃機は米国製無人標的機「ストリーカー」を中東から極秘に入手し、これを改造したものだという。北朝鮮の小型無人機は全長わずか1.43-1.83メートルほどで、翼の幅もわずか1.92-2.45メートルと小型のため、韓国軍のレーダーでは捕捉が難しい。韓国大統領府の警備などを担当する陸軍首都防衛司令部は今年4月、イスラエル製のドローン・テロ対策用探知レーダーを9台導入した。SSRと呼ばれるこのレーダーは、首都圏の主要施設防衛のためドローンや無人機を捕捉し、周波数をかく乱して無力化するシステムを備えているという。

 ある韓国軍筋は「GPS(衛星利用測位システム)などのかく乱方式によって無人機を無力化するシステムはあるが、これでは北朝鮮の無人機が突然現れ奇襲攻撃や自爆攻撃を行ってきた場合は時間が足りず防げないことも考えられる」とコメントした。ドローン迎撃システムの場合も同様で、新型の対空砲やレーザー対空兵器の開発がまだ完了していないため、配備まではかなりの時間がかかるという。つまり当分はまともな防衛手段がないということだ。

 一方で在韓米軍では「ドローン・ディフェンダー」と呼ばれるドローン・ジャミング装置や、アベンジャー対空防衛システムからなるドローン対応のシステムがすでに構築されているという。在韓米軍は今年1月、慶尚北道倭館のキャンプ・キャロルでドローン攻撃への対応訓練を行った。

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