北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が金剛山観光地区内にある韓国側施設の撤去を指示した事実が23日に伝えられる中、金剛山一帯にある韓国所有の施設が関心を集めている。わが企業と政府が金剛山に所有する施設は21件と把握されている。

■現代峨山の施設投資が最大…アナンティはゴルフ場完工後もまともに運営できず

 最も多く投資した企業は、現代グループの系列会社のうち南北経済協力事業を専門に担当する現代峨山だ。現代峨山が保有する施設は、金剛山観光地区内の有形資産は海金剛ホテル、温井閣東・西館(韓国観光公社と共同所有)、金剛山玉流館、金剛山温泉ビレッジ、九竜マウル、金剛ビレッジ、給油所、ふ頭施設、金剛山病院、事務所および宿舎などがある。このほか現代峨山は金剛山ホテル、外金剛ホテルを北朝鮮から賃借し、リモデリングおよび施設維持・保守などに投資した。

 現代峨山は1998年、「金剛山観光事業に関する合意書および付属合意書」を締結した後、金剛山の海金剛-元山地域の観光地区の土地利用について、50年間の事業権を取得する見返りに9億4200万ドルを北朝鮮側に支払った。このうち現代峨山が10年間で金剛山観光事業を進めながら支払った分が5597億ウォン(現在のレートで511億円、以下同じ)だ。これとは別に、現代峨山が施設などに投じた額は累計で2268億ウォン(約210億円)に上る。これまでに現代峨山が金剛山事業に投じた資金の総額は7670億ウォン(約710億円)だ。現代峨山は2008年に金剛山観光を中止して以降、10年間で2247億ウォン(約208億円)に上る営業損失を出した。売り上げの損失だけで推定1兆5000億ウォン(約1388億円)になる。

 アナンティグループも金剛山観光地区にゴルフ場とリゾートを保有している。アナンティのゴルフ場は、グリーンにボールを乗せさえすればホールインワンの喜びを味わえる、いわゆる「すり鉢ホール」で有名だ。アナンティは913億ウォン(約84億円)を投じ、2008年に「アナンティ金剛山」を完工させたが、臨時オープンから2か月後に韓国人観光客パク・ワンジャさんの射殺事件が発生した。つまり、まともに運営できていないのだ。アナンティ側は「金剛山ゴルフ場はまともに運営もできなかったため、発生した損失額を推定するのは困難だ」と話した。

 消防署や離散家族面会所などは政府が、文化会館や温泉などは韓国観光公社が所有している。このほか金剛山ペンションタウン(タイン観光)、金剛ファミリービーチホテルと高城港刺し身店(イルヨンインベストメント)、金剛キャラバン(漢陽)、銀行(農協)、ガス充填所(エスエヌエナジー)、金剛山ホテル内のランドリー(チャンネルライン)などが韓国企業の資産だ。

■観光中断期間が延びて施設も老朽化…「再開が可能なら改・補修の計画」

 金剛山観光は、累積200万人の観光客数記録を目前にした2008年7月、韓国人観光客のパク・ワンジャさんが北朝鮮軍の銃弾を受けて死亡し、全面的に中断となった。中断期間が長くなるにつれ、投資した観光施設も老朽化。現代峨山は、観光中断後もしばらく金剛山にとどまり、施設の管理を行っていたが、観光中断が予想より長期化したため2011年8月に完全に撤収した。金剛山で離散家族再会行事が実施されるときだけ、現代峨山は行事進行のために施設の状態を確認した。

 実際に昨年11月18日から19日にかけ、北朝鮮の金剛山観光特区で行われた「金剛山観光20周年記念行事」で確認された各施設は、ほとんどが老朽化しており、まともに作動しない設備もあった。当時、金剛山ホテル内のエレベーターは現代が製造したもので、テレビとエアコンはLG、トイレの便器は大林といった形で韓国企業が生産した製品だったが、2004年ごろに設置した設備を14年間使っており、かなり古びて見えたというのが当時訪朝した人たちの言葉だ。ホテル内のテレビは、最近韓国ではめったに見られないブラウン管テレビで、1998年に発売されたモデルだった。

 現代峨山は金剛山観光再開への期待感が高まると、今年3月に金剛山観光再開に向けた施設の改・補修のために414億ウォン(約38億円)規模の有償増資を行うと発表した。金剛山と開城にある施設の改・補修などに340億ウォン(約31億円)を投じるのだ。

 現代グループ側は「昨年4月の板門店宣言以降、金剛山再開への期待感が高まった」として「一喜一憂せずに、状況が改善したらいつでも金剛山観光を再開できるよう落ち着いて対応していきたい」と話した。アナンティ側は「今後、金剛山の施設物に関する協議があるのなら、金剛山の自然景観との調和を成す世界的な最高級複合リゾートを建設する方向で話し合いたい」と述べた。

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