▲文化部=崔宝允(チェ・ボユン)次長

 南フランスのペルピニャンで暮らしている大学生クリストフさんは1週間に1回、遠出の支度をする。目的地は南フランスのモンペリエにあるハングル学校(在外韓国人や外国人に韓国語を教える機関)。なんと往復400キロメートルの距離だ。列車に乗ったり、車を運転したりして往復するのにまるまる4時間かかるが、クリストフさんは胸をときめかせている。短くて1時間、長くて3時間のハングルの授業が待っているからだ。文字の見た目も語の響きも、聞こえる音もすべてが美しく神秘的な言葉に夢中になってしまったという。

 モンペリエにあるハングル学校のもう1人の大学生ジュペさんは先日、先生に難しいお願いをした。年間授業料220ユーロ(約2万6000円)を一括払いするのは負担になるので、22ユーロ(約2600円)ずつ10回の分割払いにできないかというお願いだった。本当にハングルと韓国文化を学びたいのだが、まとまったお金を払う余裕はないという話だった。フランスの大学の授業料は年間約170ユーロ(約2万円)だ。

 先月、モンペリエで会ったハングル学校のイ・ジャンソク校長は「100キロメートル、200キロメートル離れた所からも、年を取って死ぬ前にハングルを身につけたいという70代の老夫婦が来る。ただ『ハングルが好きだから』という理由でハングル学校のドアをたたく地元の人々に会うのは難しくない」と言った。人口45万人の小都市モンペリエで暮らす韓国人は約100人。2005年に6人でスタートしたハングル学校の学生数は昨年158人を突破した。これは同地で暮らす韓国人・韓国系在住者を上回る。ここで言う韓国人・韓国系(両親とも韓国人の韓韓家族、親が韓国人とフランス人の韓仏家族、韓国から仏家庭に入った養子家族)の学生は約40人。残りの約70%が現地の人々だ。ハングル学校設立の目的は在外同胞教育のためというが、ハングルを学ぼうとする現地の人々の熱意をいつまでも断り続けることはできなかった。みるみる増える学生について、当初は「K-POPなどに対する単なる好奇心だろう」と思っていたという。「2-3年前くらいにK-POPをずっと聞いていたある中学生が言ったんです。『韓国は獣医学の技術が優れているので、韓国に留学して獣医学者になるのが夢だ。韓国が本当に好きだ』と…。ハッとしました」

 言語・文化などを通じた国の魅力アップ。米ハーバード大学のジョセフ・ナイ特別功労教授が説いた「ソフトパワー」をこれほど見事に示す例があるだろうか。蓄積された文化遺産で築いた「韓国」ブランドの底力はK-POPをはるかに上回る。1990年代に始まった韓国ドラマ人気やKビューティー、Kフードなど、ブームが冷めたかと思うとまた火がつき、大陸をリレーするように移動しながら海外ファンを行列させる文化的「沸点」があった。しかし、これまでこうした「Kブーム」は主に特定の文化・社会のコンテンツに限定されていたのも事実だ。

 全世界のデジタル世代はさまざまなプラットフォームですぐに韓国を吸い寄せる。これまで一度もつかめなかったチャンス、つまり韓国の数多くのコンテンツを海外に知らせ、伝える舞台がすぐ目の前に広がるだろう。イギリス的あるいはアメリカ的なものが英語を通じて世界的になったように、今、韓国のものもハングルを通じて世界的なものに飛躍させられる基盤が既にできているのだ。

文化部=崔宝允(チェ・ボユン)次長

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