韓国のチョ国(チョ・グク)前法務部長官が31日、収賄など12の罪で起訴された。検察はチョ前長官の娘が受け取った釜山大医学専門大学院の奨学金を賄賂と判断した。これによって、チョ前長官一家の不正事件に関する捜査は事実上終結した。8月の捜査開始から126日目での起訴となる。

 チョ前長官は盧煥中(ノ・ファンジュン)釜山医療院長から賄賂600万ウォン(約57万円)を受け取った容疑などで在宅起訴された。チョ前長官の娘は盧院長が設立した奨学会から2016年1学期以降6学期連続で総額1200万ウォンの奨学金を受け取ったが、うちチョ前長官が青瓦台の民情首席秘書官として在任中に受け取った奨学金600万ウォンを賄賂と判断した。盧院長は奨学会の基金が底をつくと、個人の資金でチョ前長官の娘に奨学金を支給していた。盧院長は昨年初めに梁山釜山大病院長のポストの続投が決まったのに続き、本院である釜山大病院長のポストを狙っていた。釜山大病院長は民情首席秘書官が人事検証を行う。それを念頭に盧院長はチョ前長官の娘に奨学金を支給した格好だ。

 検察は盧院長がチョ前長官とその娘に自身の釜山大病院長への任命を依頼していた形跡も把握している。チョ前長官は娘を通じ、「奨学金を受け取ったことは秘密にしてほしい」「他の学生が知れば問題になりかねない」と伝え聞いたにもかかわらず、娘の奨学金を受け取っていた。検察は盧院長についても贈賄の罪で起訴した。

 検察はチョ前長官と妻、チョン・ギョンシム氏が2017年に崔康旭(チェ・ガンウク)弁護士(現青瓦台公職紀綱秘書官)名義で息子の虚偽のインターン活動確認書の交付を受け、同年10-11月に息子の高麗大、延世大の大学院入試に使った疑いも新たに突き止めた。検察によると、チョン氏は息子が崔弁護士の所属する法律事務所で同年1-10月に弁護士業務を習い、英文翻訳などをしていたとする虚偽の確認書への捺印を依頼し、崔弁護士が捺印に応じたという。チョ前長官夫婦と息子は確認書の内容をさらに偽造し、18年の忠北大法学専門大学院の入試にも使用していた。

 その後、チョ前長官のソウル大法学部の後輩に当たる崔弁護士は18年9月、青瓦台公職紀綱秘書官に任命された。2012年に崔弁護士がソウル大法学専門大学院で修士論文を作成する際、チョ前長官が指導教授として審査を行った縁もある。しかし、崔弁護士は検察の出頭要請には応じず、「インターン確認書には問題がない」とする書面の答弁書を送ってきたとされる。検察は崔弁護士についての追加捜査が必要との立場だ。

 検察はチョ前長官が民情首席秘書官時代に幹部公務員として、株式を白紙委任信託するか、処分しなければならなかったにもかかわらず、いわゆる「チョ国ファンド」の運用会社であるコリンクPEの株式と同社が買収した二次電池メーカーMFMの株式7万株など時価総額3000万ウォン以上を次男名義などで保有していた疑いも持たれている。幹部公務員を検証すべき立場の民情首席秘書官が公職者倫理法に違反していたことになる。検事長出身の弁護士は「民情首席秘書官としてやってはならない犯罪だ」と指摘した。

 特に検察はチョ前長官が17年7月、家族間のチャットルームで子に対し、「(チョ国ファンドの投資に関連する)投資用の印鑑証明書を取得しろ」と伝えていた事実もつかんだ。チョ前長官はファンドによる不法投資を当初から知っていたことになる。チョ前長官は「チョ国ファンド投資は妻がやったことで知らなかった」と主張してきた。

 チョ前長官は先に逮捕・起訴された妻と共謀し、子どもの東洋大の表彰状、ソウル大公益人権法センターのインターン証明書などを偽造または不正に交付を受けるなどして、入試に使った疑いも浮上した。妻は東洋大教養学部教授を務めている。資産管理人の証券会社の社員に自宅のパソコンのハードディスク3個、チョン氏の東洋大研究室のコンピューター1台を隠匿するよう指示した疑いも持たれている。

 検察は同日、チョン氏についても、入試不正、私募ファンド株式の不法保有など8つの罪で追起訴した。チョン氏は既に起訴された15の罪と合わせ、23の罪で裁判を受けることになる。検察はチョ前長官の事件をチョン氏の事件と一括して審理するように裁判所に求めた。裁判所がそれを受け入れた場合、夫婦が同じ法廷で裁判を受けることになる。検察はチョ前長官の子女など共犯者も起訴する方針だ。

 青瓦台の尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官は検察の捜査について、「大統領の人事権を揺さぶった捜査だったが、結果はあまりに物足りない。大山鳴動して鼠(ねずみ)一匹だった」と評した。野党は「青瓦台がむやみに検察と裁判所を脅し、チョ前長官をかばおうとしている」と批判した。

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