経済協力開発機構(OECD)は先日、2018年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果を公表した。韓国は読解力、数学的応用力、科学的応用力のいずれにおいても順位が大きく低下した。とりわけ数学的応用力の順位低下は国内の理工系学会関係者には大きな衝撃だった。教育の専門家はこれまで韓国における数学教育について「成就度は高く、興味は低い」と表現してきたが、今や「成就度も低く、興味も低い」という言葉で要約される最悪の事態になった。現代社会において数学力の低下は単に教育的な意味だけでなく、国力全体の低下、退行へとつながる可能性が高いことから、これは通常考えられる以上に深刻な問題と言えるだろう。

 科学技術の発展により世界がインターネットでつながり、社会はこれまで以上に複雑化し、新たに生み出されるデータの量はまさに爆発的だ。ビッグデータの分析によって数多くの資料を数学的に計量し、必要な情報を分析する能力は今の時代最も求められている。第4次産業革命の基盤となる人工知能をはじめとする先端科学は基礎数学に絶対的な基盤を置きつつ発展したと言っても過言ではない。世界最初のコンピューターとされるENIACが登場して以来、スーパーコンピューターの大きな発展とともに、今や代表的な量子力学現象とされる重畳や絡み合いを基盤とする独自の論理演算法を導入した量子コンピューターまで登場した。まさに数学の応用範囲は自然科学はもちろん、人文科学や社会科学、生産技術、さらには日常生活に至るまで拡大しつつある。

 数学は学問的にも重要だが、現代社会においてなくてはならない重要なツールでもある。学生たちにはそのテーマの固い定義から教えるよりも、そのテーマが誕生した歴史的背景を先に説明すればすぐに理解してもらえる。例えばニュートンは惑星の楕円(だえん)運動など天体の動きを理解させる目的で微積分を考案した。物体の位置や速度、加速度、物体に作用する力などを微分方程式に代入することで、惑星の軌道が楕円形であることを証明した。物理学を表現する道具として数学を活用したのだ。韓国は科学技術を基盤とするハイテク技術国家だ。科学技術もまた自然現象を数学的に表現した学問だ。

 PISAにおいて数学的応用力が急激に低下した背景には、2016年3月に全国の中学校で全面的に始まった自由学期制の影響が大きい。当初から懸念されていた学力低下が現実として表れ始めたということだ。自由学期制が行われるその1学期の間は中間試験も期末試験もない。さらに来年は1年にわたり続く「自由学年制」も全面的に導入される予定だ。このような教育では2024年に予定されているPISAにおいて、韓国の子供たちの数学的応用力は間違いなく10位以下に落ち込むだろう。生徒たちは評価を受けることによって自らの足りない点を自覚し成長する。教師は指導法に改善すべき点がないか考える。生徒たちの成長度合いを知ることは絶対に必要だ。そのため現在行われている自由学期制でも特定の教科は学習を続けるべきだが、特に数学では筆記テストを必ず実施すべきだ。

 現在高校で行われている数学のカリキュラムは大学の工学系学科よりも細分化されており、細分化されるほど当然その内容は難しくなる。そのため高校では数学の全体的な内容を幅広く理解し、大学に進学してから自らの専攻に合わせて深く学べばよい。高校のときから嫌気が差すほど数学を勉強させる必要はない。2019年の時点で一般の高校を通じた大学進学率は76.5%に達している。つまり生徒たちのほとんどは大学に進学するということだ。しかもその70%は数学と関連する学科に進んでいる。これらの生徒たちにとって、第4次産業革命時代の数学は文系理系を問わず必須の教養科目だ。

ペ・ヨンチャン教授(漢陽大学化学工学科)

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