日本政府が現代重工業と大宇造船海洋の合併・買収(M&A)に難癖をつけた。日本が1月31日、世界貿易機関(WTO)に対し、韓国産業銀行と韓国政府による支援などを挙げ、両社の統合は「WTO協定違反」に当たると提訴したことが12日までに分かった。日本が自国の造船産業を守るために、言い掛かりをつけた側面に加え、戦略物資の輸出制限、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了問題などで対立する韓国にけん制球を投げたという分析も聞かれる。安徳根(アン・ドックン)ソウル大教授は「韓日関係が悪化した状況で、政治的に有利になるよう、今回の提訴を及んだとも言える」と指摘した。

■韓国に造船業で追い越された日本の意地悪

 日本政府は今回、韓国政府に対し、WTOの紛争解決手続きに基づく二国間協議を要求し、それをWTOが12日にウェブサイトに公表した。二国間協議はWTOの紛争解決手続きで最初の段階だ。日本政府は「韓国政府が直接的な金融(支援)提供を含め、自国の造船会社を財政的に支援する一連の措置を取った」とし、「それはWTOの補助金協定に違反するものだ」と主張した。日本が問題視した「財政的支援」は▲産業銀が大宇造船海洋の株式約5970万株を現代重工業に現物出資する代わり、現代重工業グループの造船持ち株会社である韓国造船海洋から転換株式912万株、普通株610万株を受け取る点▲資金が不足した場合、産業銀が追加で1兆ウォンの財政支援を保証する点--など。読売新聞は「日本政府が韓国政府に対し、造船業について問題を提起した背景には、首相官邸主導の総力戦がある」「日本産の水産物輸入禁止関連のWTO紛争で敗れ、造船業では勝たなければならないという圧力が強まった」と報じた。

 これについて、韓国産業通商資源部関係者は「過去欧州も同様の内容で提訴し、韓国が大半の争点で勝利している。大きな負担とは思わず、日本側の主張を検討している」と述べた。

 業界は日本の造船業が韓国の造船業に追い付かれた後、苦戦を余儀なくされていることも要因として挙げる。市場調査会社クラークソン・リサーチによると、日本の船舶受注量のシェアは2015年に28%に達したが、昨年は13%まで低下した。4年前の時点で日本と肩を並べていた韓国は昨年のシェアが37%まで上昇した。最近日本の造船業界2位、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)が京都府の舞鶴事業所の商船建造事業を来年上半期で取りやめると発表するなど、日本の主な造船所は事業縮小や売却を進めている。こうした状況で現代重工業と大宇造船海洋が合併すれば、世界シェア21%に達する世界最大の造船会社が登場することになり、日本の造船業界には脅威になると判断した格好だ。

■さらに大きな問題はEU

 日本によるWTO提訴以外にも、現代重工業と大宇造船海洋の合併が完了するためには、各国の競争当局による承認という難関が待ち構えている。現代重工業は現在、韓国政府をはじめ、事業を展開している日本、中国、欧州連合(EU)、シンガポールによる合併審査を受けている。合併が該当国の消費者や関連産業に独寡占による被害を与えるかどうかに関する審査であり、それを通過しなければ、合併承認を得られない。うち1カ国でも反対すれば、その市場を放棄しなければならなくなり、合併は困難になる。日本でも公正取引委員会による審査が進んでいる。現代重工業は12日、「WTOに問題を提起したのは日本の国土交通省であり、企業結合審査とは無関係だ」と一線を画したが、業界は日本政府が公に問題を提起したことから、公取委も待ったをかける可能性があるとみている。

 韓国造船業の主な輸出市場であるEUの競争当局による審査も越えなければならないハードルだ。欧州委員会競争総局は現代重工業グループの大宇造船海洋合併に関する一次審査で結論を出せず、今年5月7日まで90日間の二次審査を進めている。業界からは「EUは競争法が発達した地域だ。EUの複雑な企業結合審査さえ通過できれば、他国で進む審査もスムーズになる」と予想した。EUが「シェアを一定割合以下に制限」など条件付きで承認するとの見方も一部にある。現代重工業は「過去の事例を見ると、大半の企業結合が承認されている。徹底的に準備し、企業結合審査を速やかに終える計画だ」と説明した。

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