15日に投開票された韓国総選挙で共に民主党と共に市民党の与党勢力が過半数を大きく上回る180議席を獲得した。正義党、開かれた民主党(ヨルリン民主党)、無所属など与党寄りの勢力は190議席(全体の63.3%)を占めた。半面、未来統合党、未来韓国党、国民の党など保守陣営は無所属の4人を合わせても110議席にとどまった。1987年以降で現政権・与党勢力は単一政治勢力としては最多議席を得た。政界地図が与党と進歩(リベラル)陣営中心へと完全に傾いた形だ。 

 保守野党が存立の基礎が根底から揺らぐ最悪の危機を迎えたのに対し、与党はあらゆる法案、政策を思い通りにできるパワーを得た。しかし、今回の圧勝が与党にとって必ずしも有利な状況とは言い切れないとする指摘もある。政策を少しでも誤れば、その責任は政府・与党が全て負うことになるからだ。明知大のキム・ヒョンジュン教授は「民主党はもはや野党のせいにはできなくなった。与党が総選挙に勝利したエネルギーを経済再生などに投じ、成果を上げられればプラスとなるが、対立を生むアジェンダを押し通そうとすれば逆風にさらされるだろう」と話した。

 中央選挙管理委員会の集計によると、選挙区(253議席)で共に民主党は163議席、未来統合党は84議席を獲得した。無所属は5議席、正義党は1議席だった。特に首都圏の121議席は与党が103議席を占めた。47議席を争った比例代表では未来統合党系の未来韓国党が19議席、共に民主党系の共に市民党が17議席を得たほか、正義党(5議席)、国民の党(3議席)、開かれた民主党(3議席)だった。

 これは単純な選挙戦略の勝敗ではなく、政界の地殻変動の結果だとする分析が聞かれる。比例代表の得票率は2008年の総選挙当時、保守陣営57.5%、進歩陣営30.85%だったが、今回は保守陣営40.63%、進歩陣営48.44%と逆転した。保守政権10年と文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後の野党に対する失望感が有権者の意識を変えたと言える。未来統合党は「江南・嶺南(慶尚道)金持ち党」のイメージがついて回り、20-40代の支持を失った。また、1990年代に30代で、1980年代の民主化闘争に加わった60年代生まれの人のことを「386世代」と呼ぶが、彼らが50代になったいわゆる「586世代」の有権者が政治的に進歩傾向を見せたことも影響を与えた。

 共に民主党など進歩陣営が今回の総選挙で全300議席中190議席を確保したことについて、選挙専門家は新型コロナウイルスなど選挙運動の過程で生じた突発要因だけでは説明が難しいと指摘する。08年総選挙で保守政党を圧倒的に支持した有権者の20%前後が李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クンヘ)両政権を経て、進歩支持に転じたとの分析だ。

 李明博政権発足直後の08年総選挙で、保守陣営はハンナラ党が153議席、自由先進党が18議席、親朴連帯が14議席など185議席を獲得した。これに対し、当時の統合民主党、民主労働党はそれぞれ81議席、5議席にとどまった。12年後に保守・進歩陣営の勢力分布は完全に逆転した。有権者の意識や政界地図に根本的な変化が生じたのではないかとの分析が聞かれる。ソウル大のパク・ウォンホ教授は「結果的に08年、12年の総選挙で保守陣営を支持した有権者の15-20%程度が16年総選挙で国民の党を選択した後、今回の総選挙では進歩陣営に移動した」と指摘した。

 有権者のこうした再編(realignment)は、保守政党が世代と価値観など有権者の変化に適応できなかったために起きたとの指摘がある。統合党関係者は「08年総選挙当時、ハンナラ党は首都圏、中産階級、中道層を取り込む『三重戦術』を通じ、過半数の議席を占めたが、その後彼らをないがしろにした」と話した。特に年代別で19.7%を占める50代の支持を集めるための政治的、経済的な対策を示すことができなかった。

 パク教授は「586世代が大半の50代は生活に関わる問題には保守的だが、政治的問題には敏感な態度を示す。統合党は彼らを取り込む策を示すことができなかった」と述べた。選挙専門家は今回の総選挙で、60代以上(有権者の27.3%)の相当数は統合党に、30・40代(34.9%)の相当数は民主党に結集したとみている。キム教授は「与党1.5対野党0.5の構図が長期化し、ニューノーマル(新たな標準)として根付く可能性が高い」と述べた。

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