慰安婦被害者を支援するという目的で作られた公益法人「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)とその前身の「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)の公示資料に関する疑問が日に日に膨らんでいる。これらはさまざまな税制上の優遇下で寄付金や国庫補助金を受け取る団体で、常識から言っても透明な会計処理が原則だ。それにもかかわらず、つじつまが合わない点が相次いで見つかり、一部では「横領」の可能性まで取りざたされている状況だ。

■「消えた2億6000万ウォン…捜査で明らかにすべき」

 市民団体「参加連帯」出身で、現在は「経済民主主義21」の代表を務めるキム・ギョンユル会計士が、本紙の依頼により挺対協の公示資料を分析したところ、過去5年間(2015-2019年)に挺対協が寄付などで得た収益のうち、慰安婦被害者の福祉事業などに使われて残った金額は、挺対協が金融資産に記載した金額よりも2億6000万ウォン(約2300万円)多かった。挺対協の公示によると、これら団体が持つ金融資産はほとんどが現金または現金性資産だ。実際に挺対協が使って残った金額を金融資産項目に正確に記載すべきだったという意味だ。法人なら事業を行っても受け取れていない金(未収金)がある可能性がある。だが、挺対協は貸借対照表にそうした内容を記載していなかった。その一方で、実際に使って残った金額よりも、毎年数千万ウォン(数百万円)からひどい場合は約1億ウォン(約880万円)少なく記載していたのだ。

 正義連は会計監査を受けた。しかし、監査として名前が挙がっている会計士は不正会計監査による金融当局懲戒件数1位の会計法人に所属していることが分かった。

 ある現職会計士は「法人は未収金があればこれを貸借対照表に正確に記載して公示しなければならない。これは基本中の基本だ」と話す。高麗大学のイ・ハンサン教授は「公示された(挺対協の)財務諸表上だけでは入出金と貸借対照表の勘定が分からないほど、会計ミスがあると推定される」と語った。

 キム・ギョンユル氏は「単なる記載ミスと見るには釈然としない状況がうかがえる。横領を含め、法を犯している可能性も考慮せざるを得ない。政府が監査を行うか、または検察の捜査で明らかにしなければならない」と言った。

■寄付金収益・支出も相次いで問題に

 挺対協と正義連の公示資料で理解しがたいミスはこれだけではない。正義連の前身である挺対協は2018年の寄付金総支出額(4億6900万ウォン=約4100万円)よりも多い金額(4億7000万ウォン=約4120万円)を慰安婦被害者・安点順(アン・ジョムスン)さんに渡したと公示して問題になった。受け取った人数は9999人と記載されている。

 正義連も「ムケゲ(Mukwege)財団」「韓ベ(韓国・ベトナム)平和財団」「戦争と女性人権博物館」など、国内外の13団体に3億2000万ウォン(約2800万円)を寄付し、寄付金受給人数を99人、999人と記録した。正義連はまた、2016年から昨年まで国庫補助金約13億ウォン(約1億1400万円)を受け取ったが、昨年だけで約5億ウォン(約4400万円)を受け取ったと記載して問題になった。

 正義連が慰安婦被害者たちのために使った金は少なく、寄付金収益を過度に残していたのではないかという指摘もある。正義連の公示によると、正義連の4年間(2016-2019年)の寄付金収益(前年度に残った金を含む)のうち、慰安婦被害者事業など各種事業に使って残ったのは2016年12億1235万ウォン(約1億600万円)、2017年11億5497万ウォン(約1億120万円)、2018年22億9517万ウォン(約2億110万円)、2019年22億5841万ウォン(約1億9820万円)だ。

 ところが、正義連が慰安婦被害者支援事業の費用として使ったのは2016年270万ウォン(約24万円)、2017年2872万ウォン(約250万円)、2018年900万ウォン(約79万円)、昨年は2433万ウォン(約210万円)だった。一方、2017年から正義連の事業に追加された奨学事業には2017年1200万ウォン(約105万円)、2018年1311万ウォン(約115万円)、昨年は5406万ウォン(約475万円)を使っている。

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