2020年度版日本の外交青書

哨戒機レーダーを巡る韓日対立は削除

「独島違法占有」の主張は繰り返す

慰安婦・徴用問題も従来の立場守る

 日本の外務省が2020年版「外交青書」の中で「韓国は日本にとって重要な隣国」という表現を3年ぶりに復活させた。さらに2018年に発生した「哨戒機-レーダー対立」の部分を削除した。しかし独島を自国領土とする主張は繰り返した。

 「哨戒機-レーダー対立」は「日本の自衛隊哨戒機が韓国軍の駆逐艦に対して脅威となる飛行を行った」とする韓国側の主張と「韓国軍艦艇が日本の哨戒機に向け攻撃用レーダーを照射した」とする日本側の主張を巡って真実攻防にまで広がった事件だ。昨年、日本の外交青書はこれを「両国関係を悪化させた事例」として取り上げた。しかし日本は今回、この問題の記述を削除したが、その理由については明らかにしなかった。一部からは「昨年末に中国成都で開催された韓日首脳会談など、一部で進展が見られた状況が反映された」との見方が出ている。

 日本は2017年まで外交青書で「韓国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国」と表現していた。ところがその後2年連続でこの表現はなくなった。昨年は両国関係が徴用賠償問題などで1965年の修好以来最悪となり「韓国側による否定的な動きが相次ぎ、非常に困難な状況」とまで指摘した。それが今回再び過去の表現が復活したのだ。

 東京のある外交筋は「今年1月に安倍首相が衆議院での演説で『韓国は最も重要な隣国』という表現を3年ぶりに使ったが、外交青書もこれに従ったようだ」との見方を伝えた。その一方で「自衛隊哨戒機の脅威飛行問題を記載しなかったことも『これ以上の関係悪化は望まない』という意味だ」と説明した。

 ある外交官幹部OBは「安倍内閣は徴用関連の日本企業に対する差し押さえ資産の現金化を韓日関係のマジノ線と見ているが、これがいったん止まっているので戦線拡大自制の流れを継続しそうだ」との見方を示した。ソウルのある外交筋は「安倍内閣は現在、未熟なコロナ対応で追い込まれている状況」として「外交問題が突出し、国政に負担になってはならない流れ」と説明した。

 慶南大学極東問題研究所の趙真九(チョ・ジング)教授は「昨年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が三・一節演説で日本に対する否定的な言及を自制し、その年の末に15カ月ぶりに韓日首脳会談が実現した点を日本が考慮したようだ」「肯定的に評価するのに十分」とコメントした。ただし「徴用問題など、韓日対立の解決に向けた根本的な態度が変わったとみるのはまだ困難だ」と指摘した。

 日本は今回の外交青書でも独島、徴用賠償、慰安婦問題など両国の主要な懸案に対しては従来の主張を繰り返した。とりわけ独島については「韓国が警備隊を常駐させ、違法な占拠を継続している」と主張した。「ホワイトリストからの除外」など韓国に対する輸出規制については「軍事転用の可能性がある物資と技術の貿易を適切に管理するため必要な措置」と主張した。昨年11月の韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の条件付き延長については「韓国政府が地域の安全保障を考慮して判断したものと理解する」とした。

 韓国外交部(省に相当)はこの日午前11時ごろ、在韓国日本大使館の相馬弘尚総括公使を庁舎に呼んで外交青書について抗議した。報道官の論評では「歴史的・地理的・国際法的に明確な韓国固有の領土である独島に対し、不当な領有権主張を繰り返したことについて強く抗議し、ただちにこれを撤回することを求める」とコメントした。

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