旧日本軍従軍慰安婦被害者・李容洙(イ・ヨンス)さん(91)が慰安婦被害者支援市民団体「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)の前理事長で、与党「共に民主党」尹美香(ユン・ミヒャン)国会議員の寄付金流用疑惑を暴露して以降、李さんに対して一部の親与党系ネットユーザーから人身攻撃が相次いでいる。元東洋大学教授で評論家の陳重権(チン・ジュングォン)氏は「衝撃的」「これが共に民主党のレベル」と言った。

 陳重権氏は1日、フェイスブックで、あるネットユーザーが会員数2万4000人を超える「共に民主党党員の集まり」に掲載した文を共有した。このネットユーザーは李容洙さんに向かって「戦死した日本の軍人と霊魂結婚(死後結婚)式を挙げたおばあさんの真の愛に敬意を表します。日本人の妻は日本人と同じです。韓国国民に謝罪しなさい。恥ずかしくないですか」と書いた。この文の下には、「日本人でありながらこれまで恩恵を受け、『カプチル』(立場が強い人)として生きてきた」「すぐ大韓民国から出て行け」などの悪意あるコメントが付けられている。

 これらの人々は、ある日刊紙が1998年8月27日に「69歳の慰安婦被害者が戦場で出会った日本軍将校と遅ればせながら霊魂結婚式を挙げた」と報道した記事を根拠に、李容洙さんを攻撃したものと見られる。だが同日、ハンギョレ新聞は「おばあさんはそこで、あらかじめ準備していった2つの人形で、名も知らない若い日本軍将校の霊魂結婚式を挙げた」と報道した。李容洙さんが日本軍の戦死者と霊魂結婚式をしたのではなく、人形2つを持って行き、霊魂結婚式をさせて慰霊祭を行ったというものだ。

 李容洙さんに対する人身攻撃は、先月25日に李さんが2回目の疑惑暴露記者会見をして以降、さらにひどくなっている。一部の親与党性向のネットユーザーはソーシャル・メディアに「李容洙さんはボケた」「老欲は醜い」など、高齢者に対するヘイトスピーチ(憎悪表現)をしている。また、「大邱ばあさん」「実に大邱らしい」といった特定地域に対するヘイトスピーチも絶えない。このような言動に対し、陳重権氏は「(市民)運動家(尹美香氏)を守るため、被害者(李容洙さん)を攻撃している状況だ。(尹美香氏が)検察に起訴でもされたら、また(ソウル中央地検がある)瑞草洞に集まるだろう」と言った。

 共に民主党の南仁順(ナム・インスン)最高委員も「オンライン・オフラインで拡散している二次加害は、李容洙さんが伝えようとしているメッセージをかすませ、消耗的な対立ばかり生んでいる」「これは慰安婦被害者に対する、また別の被害になる恐れがある」と語った。大邱市の市民団体「挺身隊のおばあさんと共にする市民の会」は「(李容洙さんに対する)悪意あるコメントや虚偽事実流布に対して法的措置を取ろうとしているところだ」と明らかにした。

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