3年前に北朝鮮に抑留され、送還直後に死亡した米国人大学生オットー・ワームビアさんの父フレッド・ワームビアさんは22日(現地時間)、北朝鮮の人権問題に消極的な韓国政府に対し「北朝鮮の人権問題に積極的に取り組むべきだ」と指摘した。ワームビアさんはこの日「韓半島の人権と統一のための弁護士の集まり(以下、韓弁)」に送った電子メールでこのような考えを伝えた。

 ワームビアさんは先日、米国上院が満場一致で可決・成立させた「オットー・ワームビアさん死去3周忌追慕決議」について紹介し「オットーを追慕すると同時に、北朝鮮の人権犯罪記録を非難する内容だが、このようなものが韓国においても重要なものとして取り扱われるべきだ」との考えを示した。

 韓弁は6・25戦争70周年を機に、戦時拉致被害者家族の代理として北朝鮮と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を相手取った損害賠償訴訟を起こすが、これについてワームビアさんは「良い問題提起だ」「われわれ夫婦は北朝鮮の反人道犯罪に対して正義を追求する努力を誇りに思っている」と伝えた。さらに「韓国政府と共に努力を傾け、法律を制定し、正義に向かう道を切り開くべきだ」とも主張した。

 国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)ソウル事務所のシーナ・ポールセン所長はメディアとのインタビューで「韓国政府は北朝鮮と平和や南北協力について論じる際には人権問題も含めるべきだ」と指摘した。韓国外交部(省に相当)が3年近くにわたり北朝鮮人権国際協力大使を空席としていることについては「任命そのものが重要なメッセージになる」との見方を示した。

 ポールセン氏は、政府と地方自治体が厳正に対応する方針を示した脱北民団体による北朝鮮向けビラ散布について「北朝鮮住民に情報を伝えるための活動であり、『表現の自由』の領域に相当する」と主張した。ポールセン氏はさらに「南北双方が批准した『市民的および政治的権利に関する国際規約』はさまざまな手段を通じ、国境を越えて情報を配布し受け取る権利を保障している」「風船ではなく風船に対する(北朝鮮の)対応が安全保障上の脅威を引き起こしている」とも指摘した。取り締まりや処罰一辺倒となっている韓国政府の動きに懸念を示したものと解釈されている。その一方で「市民社会と脱北民、政府が北朝鮮の行動に影響を及ぼす効果的な手段とは何かについて、真実で率直な対話を行う必要がある」との考えも示した。

 このような中で韓国外交部のキム・インチョル報道官は23日、韓国政府が2年連続で国連人権理事会(UNHRC)による北朝鮮人権決議案の「共同提案国」にならなかったことについて「昨年もそうだったが、現在の韓半島情勢など諸般の状況を総合的に勘案した」「北朝鮮住民の実質的な人権増進のために努力する基本的な立場に変わりはない」とコメントした。

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