朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長をわいせつ行為・セクハラ(性的嫌がらせ)で告訴したソウル市職員のAさんは、朴市長の秘書を務めていた4年間、市長がジョギングなどを終えて市長室で服を脱いでシャワーを浴びる際、新しい下着を用意し、男性随行員がいるのにもかかわらず、女性のAさんが市長室の内室に一人で入り、昼寝をしている朴市長を起こす業務をしていたことが分かった。

 朴市長のわいせつ行為・セクハラ問題で、金在蓮(キム・ジェリョン)弁護士と一緒にAさんの代理人を務めている社団法人「韓国性暴力相談所」と非政府組織(NGO)「韓国女性の電話」は16日、ソウル市の「官民合同調査団」計画を批判する見解文を出し、これまでAさんが朴市長の秘書として経験してきたセクハラなどの性暴力実態をさらに公表した。また、朴市長のセクハラを「助長・ほう助・黙認・要求」してきたソウル市職員らに「真相調査の主体」になる資格があるのかと問題提起した。これらの団体は見解文で「市長室と秘書室は日常的な性差別によりわいせつ行為やセクハラなど性暴力が発生しやすい職場環境だった」と述べた。

 これらの団体がAさんと話し合った上で出した見解文によると、ソウル市長秘書業務の性格は「市長の機嫌を良くすること」であり、そうした業務が「市長の機嫌が重要な人々」によって要求され、続けられてきたという。また、「(そのような業務は)常識的な業務遂行ではなく、女性職員の歪曲(わいきょく)された性の役割遂行により達成された」と具体的な事例を挙げた。これらの団体は、朴市長秘書室から女性秘書に要求されたそうした仕事を『(北朝鮮の)喜び組』のような役割」だと表現した。

 韓国性暴力相談所と韓国女性の電話側は16日に発表した見解文で、ソウル市秘書室の公務員たちが行った「日常的な性差別」の事例も公表した。まず、シャワーを浴びるために中に入った朴市長に新しい下着を持って行かなければならず、市長が脱いで、置いておいたトレーニングウェアと下着は秘書が取って袋に入れ、市長の家に送るように強要されたとのことだ。また、(男性の)随行秘書が(昼寝をしている)朴市長を起こして次の日程を行えば効率的なのに、秘書室の職員たちが「女性秘書が起こさなければ(朴市長が)機嫌を悪くする」とAさんに市長室の内室に入って起こすよう要求したという。

 医療スタッフがやるべき血圧測定業務もAさんの役割だった。この時、朴市長は「君(Aさん)が血圧を測ると、私の血圧が上がるので記録に良くない」などのセクハラ発言もしたという。朴市長が週末の早朝にジョギングをする時、女性秘書も出勤して一緒に走らなければならなかった。朴市長が「普段は1時間以上走るが、女性秘書と一緒に走れば50分以内で戻る」と言ったというのがその理由だ。また、女性秘書は「市長の機嫌が良い状態で、望み通りの答えをもらわなければならない人々」から「市長の機嫌を良くする役割」を暗黙あるいはあからさまに要求された、とこれらの団体は明らかにした。

 Aさんは2016年1月から6カ月ごとに異動を要請したが毎回挫折し、2019年7月になってようやく勤務地を変えることができたものの、それでも6カ月後にまた秘書業務を要請された。この時、Aさんは「『性的スキャンダル』が出るかもしれない」と被害の事実を示唆したが、人事担当者は問題を把握しようともしなかったそうだ。

 ソウル市職員らはAさんの告訴や記者会見を阻止するため、懐柔・引き止めをした事例も支援団体側が公表した。「前職・現職の幹部公務員、特別職、任期制政務補佐官、秘書官」らが今月8日のAさんの告訴状提出後、Aさんに「君を支持するが、政治的陣営論に、女性団体に巻き込まれるな」と懐柔した事例や、「大変そうだね」とAさんにいたわりの言葉をかけながらも「記者会見(をするの)は違うと思う」と引き止めた事例などだ。

 この日の見解文には、Aさん以外にソウル市庁で働いていた別の女性公務員たちの被害事例もあった。▲会食のたびにカラオケに行って腰に手を回したり、肩を組んだりする ▲酔ったふりをしてキスする ▲家まで送ると言って、タクシーの中で一方的にキスをしてわいせつ行為をする ▲床に手をつくふりをして脚に触るなど、日常的なわいせつ行為・セクハラがあったと主張した。両団体は「ソウル市で日常的にわいせつ行為・セクハラに遭ったという被害情報は今回の事案だけではない」と述べた。

 両団体はまた、「ソウル市は性暴力事案が発生し、検察が起訴した場合、厳重に処罰する『ワンストライク・アウト』制度を導入しているが、今年4月に発生した行政職秘書官による性暴力事件に対し、これを適用しなかった」と指摘した。事実、4月にソウル市長秘書室の男性職員が会食に一緒に出席した女性職員に性的暴行をした容疑で警察に告訴されたが、ソウル市は秘書官人事措置を先送りし、これがメディアで報道されると職位解除措置を下した。

 Aさんがこの日、両団体を通じて明らかにした内容は、ソウル市での性差別・わいせつ行為・セクハラが朴市長個人の問題ではなく、秘書室織全体でほう助し、加害に加わっていると言ってもいいほどのものだ。この時期、朴市長の秘書室は秘書室長、特別補佐官(2人)、政務首席(1人)の下にそれぞれ補佐官(4級公務員)、秘書官(5級公務員)、秘書(6級以下の公務員)など計40人からなっていた。Aさんが朴市長からセクハラを受けたと明らかにした2015年7月から2019年7月までの4年間に秘書室長を務めたのは、徐正協(ソ・ジョンヒョプ)現市長権限代行(2015年3月-16年6月)、許栄(ホ・ヨン)現共に民主党国会議員(16年7月-17年2月)、金周明(キム・ジュミョン)ソウル生涯教育振興院理事長(17年3月-18年6月)、呉成圭(オ・ソンギュ)氏(18年7月-20年4月)だ。本紙は、この4人に説明を求めるため数回電話し、テキストメッセージを送ったが連絡がつかなかった。

 両団体は、警察に対し「ソウル市庁6階にある証拠を保全し、捜査資料を確保してほしい」と要求した。また、ソウル市、共に民主党、女性家族部などが「被害者」ではなく「被害呼訴人(被害を訴えている人)」という表現を使用していることを「ダブルスタンダード(二重規範)的な姿勢」と規定し、これらに「積極的な性暴力問題解決と性暴力的文化の改善に乗り出すべきだ」と要求した。

パク・サンヒョン記者

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