韓国政府が、外国産のイネの品種より食味が良くて生産性に優れた韓国産のイネの品種の普及に拍車を掛けている。

 農村振興庁(農振庁)は6日、韓国国内で栽培される外来イネ品種の栽培面積を2024年までに1万ヘクタール以下へと縮小するため、それぞれの地域に合った最高品質のイネ品種の選抜と普及拡大に拍車を掛けていると発表した。

 昨年現在で、韓国国内におけるイネの栽培面積のうち「秋晴」「コシヒカリ」など日本産の品種が占める面積はおよそ9%(6万5974ヘクタール)に達する。品種別の栽培面積は秋晴(5万2527へクタール)、コシヒカリ(1万1266ヘクタール)、その他(218ヘクタール)の順だ。

 2000年以降、韓国で最高品質のさまざまなイネの品種が開発されたが、首都圏や中部地域を中心に依然として日本産品種の栽培が続いている、その理由は、「味が良い」という消費者の認識があるからだ。

 韓国政府は主食であるコメの不足を解決するため、品質より生産性中心でイネの品種研究を進め、その成果である「統一イネ」を1972年から一般農家に普及させて以降、韓国におけるコメの生産性は急激に上がった。だが生産量の増加に重きを置いた結果、韓国で開発された品種は日本の品種より味が劣るという認識が固着した。

 80年代以降になると韓国経済の急激な発展に伴って家計事情が改善され、その結果、高級米に対する需要も急増した。農振庁を中心に韓国政府はこうした状況を考慮して、生産性に優れつつも食味が良い優秀な品種の開発をスタートさせ、本格的な普及に乗り出した。2003年以降現在までに韓国国内で開発・普及がなされた高品質品種は13品種に達する。

 韓国産の高品質品種の場合、生産性は10アール(1000平方メートル)当たり500キロ以上と優れており、いもち病・白葉枯病・縞葉枯病・トビイロウンカなど主な病虫害に対しても二つ以上の複合耐病性を持っているのが特徴だ。

 味も優秀という評価を受けている。農振庁が08年と09年の2度にわたり、韓国国内の消費者135人を対象として韓国で販売されているコメの食味の評価を行った結果、最も味に優れた品種は「三光」「コプム」「ホプム」など韓国産品種だということが判明した。さらに10年と11年、韓中日3カ国でそれぞれ行われた「韓中日代表品種食味評価」でも、ホプム・三光などが1等を取った。

 だが、日本産品種の味の方が韓国産品種より優れているという記憶を持つ相当数の消費者は依然として日本産品種のコメにこだわっており、その結果、首都圏や中部地域では生産性が低い日本産品種の栽培が続いている。

 韓国で多く栽培されている日本産品種の場合、食味は良い方に属するが、韓国産品種より病害虫に弱くて倒れやすく、生産性が低いというのが欠点だ。具体的には、秋晴は耐病虫性が低く、コシヒカリは倒れやすくて生産性が低い。

 農振庁は優秀な韓国産イネ品種の開発および消費拡大のため、品種開発の段階から育種家、農業者、消費者が参加して品種を開発する「需要者参加型品種開発研究(SPP)」を推進している。実際、こうしたプロセスを経て開発された「ヘドゥル」種は、京畿道利川地域で栽培されていた「コシヒカリ」と「ヒトメボレ」を完全に代替し、「アルチャンミ」は「秋晴」の栽培面積の15%を代替した。

 国立食糧科学院も、韓国産イネ品種の品質競争力向上と外来品種代替のため、最高品質のイネの品種開発や生産・流通供給拠点団地の造成、地域特化品種選定のための支援事業などを推進している。

 具体的には、食味・外観品質・精米特性・耐病虫性という四つの基準を適用して選抜した三光・ウングァン・コプム・ホプム・チルボ・ハイアミ・チンスミ・ヨンホジンミ・ミプム・スグァン・テボ・ヒョンプム・へプム・ヘダムサル・チョンプン・チングァン・ヘドゥル・イェチャンの計18種の最高品質イネを外来品種の代替として農家に普及させ、栽培を広げている。これら最高品質イネの栽培面積の割合は、08年の1.2%から15年には16.9%、17年には17.3%、19年には24.8%と毎年上昇している。

 また、最高品質イネの生産・供給拠点団地の造成のため、京畿道(利川)・全羅北道(金堤)などでプレミアム米の生産・流通専門経営組織11カ所を重点育成し、団地ごとの一括栽培・管理で品質向上を図っている。

 国立食糧科学院は、優秀な韓国産新品種について現場実証で栽培安定性を確認し、収穫後の消費者の評価を通して地域特化品種として選定・栽培を広げていく事業も進めている。

 また地域特化のイネ品種の普及、および外来品種代替のため、今年は三つのモデル事業を25カ所で進め、新品種の利用促進に関する現場実証研究課題を忠清南道(牙山、唐津)、全羅北道(群山、扶安)、釜山広域市、慶尚南道(固城)、慶尚北道(永川)の計7地域・9カ所で進める。

 国立食糧科学院の金庠南(キム・サンナム)院長は「外来イネ品種の栽培縮小と国内育成最高品質イネの栽培拡大のため、生産者・地域農協・米穀総合処理場(RPC)と継続的な協力関係を構築し、地域需要に合ったイネ品種の普及に最善を尽くしたい」と語った。

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