「一つの中国」という原則に従い、中国と国交を結んだ世界のほとんどの国において、台湾国旗の青天白日旗は公式の場に登場してはならない。これは外交的なタブーだ。このタブーが先週、主要な国際ニュースの中で大きく取り上げられた。

 チェコの国家序列2位のビストルチル上院議長が正式な国交を結んでいる中国からの警告を無視し、8月30日から5泊6日の日程で台湾を訪問した。ビストルチル議長は両国の国旗が並んで描かれたマスクを着用しながら日程を消化した。ビストルチル議長は台湾立法院(議会)で演説を行う際、中国語で「私は台湾人だ」と述べ、起立拍手を受けたが、この時も両国の国旗が描かれたマスクを着用していた。

 この出来事を通じ、台湾は国連総会まで非対面で開催されるほどコロナが全世界に広がった状況でも、通常の外交が可能な模範防疫国家というイメージを定着させた。外交使節に対しても、滞在中は全員を対象に2回にわたりコロナ検査を受けさせるなど、徹底した防疫を行っていた。

 台湾は昨年末、武漢で肺炎患者が続出した時から、武漢からの旅行制限、高リスク群の旅行客隔離、政府主導の安定したマスク供給システムの構築など、他国に比べてかなり迅速に動いた。行政の迅速さだけでなく、ハイテク技術も大いに活用した。台湾行政院は今年1月、コロナ撲滅のためIT専門家によって構成された作業部会を立ち上げ、人工知能とビッグデータを活用し、これらを防疫・自宅隔離・診療・投薬などの手続きに活用したが、これもその代表的な事例だ。

 感染者数が累計で494人(完治者475人を含む)、死者7人と感染の押さえ込みに成功している台湾は、韓国における「K防疫」と同じく「台湾モデル」という名称で自国の防疫政策を世界に宣伝している。同じように順調に見えた「K防疫」とこの「台湾モデル」の明暗も最近になってはっきりと分かれている。韓国はコロナの感染が再び拡大し、封鎖レベルの社会的距離確保まで考えねばならない状況に直面しているからだ。

 「台湾モデル」は米中関係悪化という事態さえも、これを国力を伸ばすチャンスとして活用している。先月は米国と台湾が断交して以来、米政府関係者としては最も地位の高いアザー厚生長官が台湾を訪問した。アザー長官は「台湾における最高レベルの医療知識を全世界が共有しなければならない」と大きく称賛した。

 韓国と台湾はコロナが最初に発生した中国と地理的に近く、今年1月に最初の感染者が確認されてから国力を総動員して防疫作戦を展開した共通点がある。大流行の中でも防疫に成功したという誇りも同じように持ってきた。ところがそれから8カ月が過ぎた今、国土の面積が韓国の36%、人口が46%の台湾におけるコロナ感染者数は韓国の2.3%、死者は2%程度だ。台湾モデルが勝者であることを間接的に示す数値だ。判定負けした「K防疫」は今や「台湾モデル」を徹底して研究・分析し、備えに取り組まねばならない立場となった。

鄭智燮(チョン・ジソプ)記者

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