朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長をわいせつ行為・セクハラ(性的嫌がらせ)で告訴した被害者Aさんに対する親与党陣営の「2次加害」が度を超えている。動画投稿・共有サイト「ユーチューブ」のあるチャンネルが、真偽が確認されていない動画を編集して掲載し、「Aさんの方がむしろ朴市長にセクハラをしていた」と主張するや、被害者を侮辱するコメントが数千件寄せられているものだ。Aさん側は「正体の分からない悪意ある動画で被害者Aさんだけでなく数多くの性暴力事件被害者が委縮している」と語った。

 17日、ユーチューブのチャンネル「開かれた共感TV」には「単独! 故・朴元淳市長告訴人動画公開!」というタイトルで、朴前市長とある女性が並んで立ち、一緒にケーキを切る姿を収めた動画が掲載された。動画の字幕は「2019年3月26日、朴元淳市長の誕生日に撮影した動画」だとして、「この(該当)女性が告訴人(Aさん)」だとしている。女性の顔はモザイク処理されている。

 この動画には朴前市長と女性がケーキ用ナイフを一緒に握っている姿が登場する。動画は2人の手の部分を拡大して示し、字幕で「(女性が)あえて手を包むように握らなければならなかったのか」と書いている。この女性が意図的に朴前市長の手を包むように握ったというのだ。続いて、女性の手が朴前市長の肩や腕に触れる様子を繰り返して見せている。動画の制作者は、女性が朴前市長の肩を意図的になでているように編集している。動画は字幕で「誰が誰にセクハラをしているのか」「果たしてあの姿が4年間ずっと性的に嫌がらせを受けていた人物だと見ることができるだろうか」と問いかけている。

 この動画は、20日午後までで39万回以上再生された。コメントは2900件以上寄せられているが、ほとんどは被害者Aさんを攻撃する内容だ。その中には「セクハラは告訴人がしていて、朴市長に転嫁した。悪い×だ」「スキンシップが巧みだ。シッポが9本ついている女に見える。純真な朴市長がはめられたのだ」という内容もあった。

 このユーチューブ・チャンネルの紹介欄には「作家・柳時敏(ユ・シミン)氏=元保健福祉部長官=の著書『国家とは何か』を土台に進歩の大きな海を航海するユーチューブ・チャンネル」となっている。

 Aさん側の金在蓮(キム・ジェリョン)弁護士は「この動画に出てきた女性がAさんであるかどうかを論じることも適切ではない」「オンラインに掲載されるAさんの2次加害性の書き込みや動画を引き続き証拠として収集しており、必要ならば法的措置を取る予定だ」と述べた。

 朴前市長セクハラ被害者の2次加害騒動は今回が初めてではない。13日に行われたMBCの取材記者の筆記試験で「朴元淳前ソウル市長のセクハラ問題提起者を被害者と称すべきか、被害呼訴人者だと称すべきか」という問題が出て物議を醸した。一部の作家たちが推進する展示会も2次加害騒動を起こしている。似顔絵アーティストの「アート・マンドゥ」氏や漫画家パク・ジェドン氏らが準備している「言いたい」展覧会の広報ポスターには、口の部分に穴があいたマスクをしている金弁護士が「2次加害」と書かれた紙を持つ姿が描かれている。ポスターには全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長、崔大集(チェ・デジプ)大韓医師協会会長、安倍晋三前日本首相らの姿もある。

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