フレッド・ワームビア氏と妻のシンディ・ワームビア氏は18日、北朝鮮軍に銃殺された韓国政府職員イ某氏の遺族に手紙を送り、その中で「国民の安全と権利の保護は民主主義国家のやるべきこと」と複数回にわたり強調した。ワームビア夫妻は「国民の安全と生命の保護は民主主義国家の存立理由であり、指導者の基本的な責務」とした上で「国民が不当な理由で犠牲になれば、(大統領が先頭に立って)最後まで責任を追及すべきだ」とも指摘した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領もこの責務を果たすべきという意味だ。しかし文大統領は政府職員殺害事件が起こってから20日過ぎても、国民の生命を守るための具体的な措置を取らず、北朝鮮に対しては特に責任も追及していない。

 ワームビア夫妻は2017年、息子で当時大学生だったオットー・ワームビアさんが北朝鮮で身柄を拘束され、解放されてから6日後に死亡した当時、トランプ大統領と米国政府が行った努力について詳しく説明した。夫妻は「大統領と政府はオットーのために正義を取り戻す仕事に誰よりも献身的だった」「北朝鮮をテロ支援国リストに記載し、米国国内の北朝鮮資産を差し押さえ、最も強力な北朝鮮制裁とされる『オットー・ワームビア法』を制定した」と伝えた。さらに「2018年の一般教書演説で、大統領が息子を追悼した際には大きな拍手が起こり、感情を抑えられなかった」とも明らかにした。トランプ大統領は昨年9月に夫妻をホワイトハウスに招待し、夕食会を行った。夫妻は「(米朝は)韓半島の平和に向けて交渉することもできたが、金正恩(キム・ジョンウン)政権が起こした問題については引き続きメッセージを送り、犠牲者を追悼することが指導者としてやるべきことだ」と訴えた。

 ワームビア夫妻の手紙は北朝鮮による西海蛮行以降、このような先進国の対応原則とは逆方向に動いている韓国政府を事実上、批判したものと解釈されている。殺害された政府職員の息子からの手紙に対し、文大統領は報道官を通じ「私も心が痛い」と表明した後、ワープロで打ち込んだ紙1枚の返事を送っただけだ。本来なら政府も批判声明を出し、国連など国際社会との協力を通じて北朝鮮に圧力を加えるべきだった。ところがこの問題を担当する韓国外交部(省に相当)は「(対応策を)検討中」としかコメントしていない。これでは事実上の無対応に等しい。

 与党勢力からは逆に「今回の事態を対北朝鮮関係改善に向けた動力にしよう」といった声も出ている。与党所属のある議員は「越北を敢行したのであれば、射殺されることもあり得る」と発言した。政府与党によるこのような態度は「国民の命を最後まで守る」とする先進国政府の対応とは対照的だ。フランスのマクロン大統領は昨年5月、アフリカ旅行中に殺害された自国民を救出するため、最精鋭の特殊部隊を派遣した。その過程で特殊部隊員2人が生命を落とした。マクロン大統領は「国家の義務は国民がどこにいても安全を保障すること」と発言した。今月初めにもアフリカのマリで4年にわたり抑留された75歳のフランス人女性を救出した際「フランス人の人質が一人もいなくなるようにすることが大統領の義務だ」とコメントした。

 日本の菅首相は就任後の第一声で「日本人拉致問題解決に向け金正恩委員長と条件なしに会う」と述べた。最近は拉致問題を国際社会に知らせるためのユーチューブ・チャンネルを立ち上げ、他国の高官まで登場させた。米国のスティルウェル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は映像で「われわれはこの問題について、北朝鮮に対し最も高いレベルで圧力を加えてきた」と説明した。

◆「世界で最も平和な国」1位はアイスランド、韓国48位、TOP10は?

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