韓国監査院による月城原子力発電所1号機早期閉鎖決定をめぐる監査が開始された際、韓国産業通商資源部職員が関連する証拠資料と青瓦台に報告した資料など444件のファイルを組織的に削除していたことが判明した。他の職員の目を避け、日曜日の夜11時といった深夜に事務室に入り、コンピューターのファイル名を変更後に削除するなど復旧不可能状態で「証拠隠滅」を図っていた。エリート公務員が監査妨害のため、犯罪集団のように動いていたことになる。

 監査院は20日、そうした内容が含まれた監査結果報告書を発表し、監査を妨害した産業通商資源部の局長、職員らに対する厳しい懲戒処分を求めた。また、白雲揆(ペク・ウンギュ)元産業通商資源部長官は2018年4月、経済性評価の結果が出る前の段階で、「韓国水力原子力の理事会(取締役会)の決定が出たら、遅滞なく直ちに稼働中断」という指針を下していたという。「月城原発の経済性も不合理に低く評価された」との結論も下した。月城原発1号機の稼働を継続したほうが経済的だったにもかかわらず、数値をでっち上げ、閉鎖決定を下した格好だ。

 白元長官が稼働中断指針を下したのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が青瓦台補佐官に「月城原発1号機の恒久的な稼働中断はいつ決める計画なのか」と尋ねたことを担当課長から伝え聞いた直後だった。産業通商資源部は青瓦台に月城原発1号機の早期閉鎖に関連する報告書を数回提出していた。産業通商資源部が青瓦台のムードを考慮し、早期閉鎖という答えを事前に決め、それに合わせた経済性評価を行っていたと解釈可能だ。産業通商資源部はまた、代案検討など中間手続きを飛び越し、軍事作戦のように速戦即決で早期閉鎖を押し切った。

 監査院はそうした問題を把握したが、「今回の監査は月城原発1号機の経済性評価に焦点を合わせたもので、安全性などさまざまな事情を考慮して下したという原発閉鎖決定の妥当性に対する総合的判断と見るには限界がある」と結論をぼかした。韓国水力原子力の理事(取締役)らが月城原発1号機の早期閉鎖を議決したことについては、業務上背任罪に該当すると見なすのは困難だと判断した。監査院は資料削除などと関連し、「問責対象者の業務に関連する不正行為、資料削除などの犯罪の疑いが濃い状況が盛り込まれた捜査参考資料を捜査機関に送付する予定だ」とし、事実上検察に捜査を依頼する方針を表明した。政界からは懲戒のレベルが低かったことから、「監査院は産業通商資源部の原発経済性評価問題の実情を十分に監査できなかった」と指摘する声が上がった。

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